紙質の評判がよいミドリのMDノート。試しに買って使ってみたが、万年筆でも裏移りしにくく、両面使って1年分くらい日記を書き続けた。途中からカバーなしで使い込んだので、表紙もいい具合に薄汚れてきて、寿命を全うした感がある。
思いつく限り一番シンプルなノート
無罫のA5版、176ページで800円くらい。枚数は多めだが、ライフやツバメノートに比べると高級な製品だ。方眼バージョンはマスが小さめの独自パターンで使いにくい。MDノートのシンプルさを味わうなら、紙も無地の方がいい。
MDノートの一番の売りは、表紙のシンプルさだろう。薄いクリーム色の本体と同色の厚紙表紙で、製本テープのような寒冷紗だけで簡素に閉じられている。無地のノートは黄色い紐がついているが、それ以外に凝った仕掛けやデザイン要素はない。
栞は背表紙に無造作にのり付けされているので、一見つくりかけか、スケルトン仕様の機械式時計のような趣がある。無印良品のノートより、さらにシンプルともいえる。用紙のクリーム色さえ気にならなければ、デザイン関連の仕事にも使えそうだ。手書き風の帯も味がある。
表紙についていた薄いパラフィン紙は、しばらくつけたままにしていたが、鞄の中でよじれてしわくちゃになってしまった。カバーを外すと当然表紙が汚れてきたが、これを味ととれるかどうかは微妙なラインだ。ヤギ革や透明ビニールのカバーが別売りされているので、汚れが気になるなら追加してもよいだろう。
インクの裏移りは許容レベル
MDクリームの用紙はやや厚手で、インクの出がよい万年筆やローラーボールで書いても裏移りは少ない。普通の油性ボールペンならほとんど裏抜けしない。
厳密にはまったく裏に透けないわけではないが、そのまま裏面から書いても気にならない程度のにじみ具合だ。
モレスキンの紙質はがっかりだったが、MDノートの中身は信頼できる。高級ノートを両面使ってフル活用できるので、貧乏性にはありがたい性能だ。
MDノートのライト版が出ていた
クオリティーも使い勝手も問題ないが、個人的にはこの半分くらいの厚みで持ち運びしやすいとよかった。…と思ったら、48ページでホチキス留めの「MDノートライト」という新製品が2017年に発売されていた。本家のノートと同じ、文庫・新書・A5サイズのバリエーションで3冊セット。
モレスキンのカイエ3冊組みと同じような商品展開だが、用紙も同じMDクリームなので、品質は期待できそうだ。ぜひ試してみたい。
MD用紙の一筆箋も愛用
実はMDノートを買う以前に、同社の一筆箋を愛用していた。便箋・封筒もノートと同じ材質だと思うが、万年筆のインクの乗りがよく安心して使える。
かつてはクレインのコットンペーパーや伊東屋オリジナルの便箋を使っていたが、銀座や渋谷の伊東屋まで買いに行くのは面倒だ。ミドリの便箋なら、そこそこ大きな街の文具屋に置いてある。
取引先のイラストレーターさんから請求書をいただいた際、手書きのメモとイラストが添えられていて、ちょっと感激したことがある。以来、自分も真似して、ちょっとしたビジネス文書に手書きで一筆添えることがある。
ミドリの一筆箋は、A4三つ折り封筒に入るちょうどよいサイズで、横書きで書きやすいのも気に入っている。罫線も薄くて目立たず、余計なロゴも印刷されていないのがいい。
ノートを買い替えるならほかにも候補はあるが、便箋に関しては当面ミドリの製品を使いつづけようと思っている。