今年に入ってから自炊味噌汁のレパートリーが大きく進歩した。味噌汁にカレーのルーを入れるとすごくおいしいということを発見したのだ。具材としては肉でも野菜でも何でも入れるし、うどんやすいとんを入れれば主食にもなるマイ味噌汁だが、ベースになるスープ自体が進化したのは、キムチ味噌汁を開発して以来だ。
カレーは好きだが実は自分で作ったことがない
毎日玄米中心の粗食だと、たまにカレーが食べたくなる。カレーに含まれる油脂とかスパイスはたまに摂取した方が体によさそうな気もする。安くはないとわかっていても、たまにCoCo壱番屋やゴーゴーカレーに行ってしまうときがある。吉野家で優待券を使うときも、330円の豚丼とさほど価格が変わらない350円の「こく旨カレー」を頼むことも多い。
カレーの作り方を調べてみると、肉や野菜を事前に炒めたり、ルーを入れて煮込んだりと、大変な手間がかかるようだ。そもそも今は油を持っていないから炒めることができない。結局まだカレーを家で作った経験がなく、いつも手軽なレトルトカレーで済ませていた。
トップバリュ58円のレトルトか98円のカレールーか
レトルトも安いので100円くらいが相場と思っていたが、イオン系の大きなスーパーに行くと税込58円のトップバリュ製品があったりする。肉はおろか、ほとんど具が入っていないシンプルなカレーだが、そもそも100円のレトルトカレーでも大差ないので、コスパはとてつもない気がする。肉や野菜は別で調理して混ぜる方が安上がりだろう。
ときどき奮発して、にしきやのレトルトカレーを取り寄せたりするが、こちらはアマゾンでも1袋383円の高級品。イオンPBの6倍以上の値段なので、さすがに別物かと思うくらいうまい。特にココナッツミルクが効いたまろやかな「レモンクリームチキンカレー」がおすすめだ。
そんな中、スーパーのカレーコーナーを何気なく眺めていると、税込98円のカレールーが目に入った。こちらもトップバリュ商品で「こくと旨みの熟成カレー」とおいしそうな名前がついている。ルーで買えば8皿分のカレーが作れるそうなので、58円のレトルトより4倍はリーズナブルといえる。
安いレトルトカレーに、別で具材を茹でて加えるとか回りくどいことをするよりは、いつもの味噌汁にルーを入れればカレーを楽しめるのではなかろうか。そんなアイデアを思いついて98円のカレールーを買い求めてみた。試行錯誤の末、編み出したレシピはこちら。
一瞬で味噌汁からスープカレーに変化してしまう謎
最初は半信半疑だったが、味噌汁にルーを入れてみると驚くほどうまい。味噌にカレーの脂肪分と香辛料が合わさって、タイ料理のカオソーイ、カレーラーメンのスープのような奥ゆかしいこくが出てくる。
いや、正確にはルーを入れた途端、ほとんど味噌の味が打ち消されてしまうのが不思議だ。カレーの効果が強すぎて、かなりの量の味噌を入れても隠し味程度にしか感じられなくなる。今回は余っていた春菊を入れてみたが、こちらもカレーのせいでまったく香りがなくなってしまった。
恐るべきカレーの影響力だ。味噌汁にほんの一切れルーを加えただけで、カレーが主体の味噌スープカレーになってしまう。98円のルーにどれほど有益なスパイスが含まれているか不明だが、ウコンにクミンにターメリックなど、アルツハイマーやガンにも効くといわれるクルクミンを摂取できるのはありがたい。
世の中には、「カレーライスと味噌汁の組み合わせはあり得ない」とか「松屋のカレーに味噌汁が付いてくるのはけしからん」という意見もあるようだが、思い切って味噌汁にカレールーを入れると新しい世界が開けるだろう。ぜひおためしあれ。