無料の会計ソフト、フリーウェイ経理Liteを使い始めて1年。決算日をうっかり間違えて設定していたことに気づいた。
調べたところ、フリーウェイでは後から決算日を変更することができない。いちから会計データを作り直さなくてはならない。しかも無料版はデータのエクスポート機能が使えないため、入力済みの仕訳は再度手入力するしかない。
仕訳を再入力する前に、前期の科目残高転記も必要。いろいろ時間はかかるが不可能ではない。
無料のLiteバージョンのまま、決算年月日を変更する手順について説明したい。
(2020年2月14日更新)
決算年月日は修正できない
税務申告のために決算書を書き出したところ、PDFに印字される日付がおかしい。
1年前に初期設定した際、月末の決算年月日(9月30日)を間違って翌月初日(10月1日)にセットしていたようだ。そのため会計年度も1か月後ろにずれているとわかった。
メニューの会計データ管理から日付を修正しようとしたが、決算年月日は後から編集できない仕組みになっていた。
有料/無料版の違いは出力機能の有無
有料のProバージョンであれば、仕訳データや科目残高をエクスポートすることができる。決算年月日を変更して新規作成した会計データにこれらを読み込ませれば、旧データを引き継ぐことが可能だ。
しかしフリーウェイ経理Lite(無料版)については以下のとおり。
Q 会計データの決算年度を間違えたまま、仕訳入力をしてしまいました。本来の決算年度の会計データを作成し直した後にデータを移行できますか。
A 移行できません。会計データを削除した上で正しい決算年月日の会計データを新規作成し、入力し直してください。
残念ながら無料版ではすべてのデータを手入力し直す必要がある。
振り返るとこの1年で300件以上の仕訳を入力していた。これをもう一度入れ直すのは気が進まない。
一時的に月額3,000円払って有料契約に切り替えようかと思ったが、フリーウェイには年間契約しか存在しない。
また過去に弥生会計をバージョンアップした経験からすると、一度Pro版に切り替えたソフトはダウングレードできないおそれがある。
会計データの作り直し計画
冷静に考えれば会計期間はずれているが、決算書の表紙に載る数字だけ直せば体裁は整う。さいわいフリーウェイには決算書の日付を手動でいじれる機能が付いている。
1期目は日付だけ直して決算書を作成し、新規作成した会計データで2期目を始めればいい。2期の仕訳はまだ30件程度しか入れていないので、がんばれば打ち直せる。
会計期間が狂ったまま使い続けると、将来的に不具合が起きそうな気がする。その時点でやむなくPro版に切り替えるよりは、傷が浅いうちに対処しておいた方がいい。
フリーウェイ経理はバックアップデータを上書きすれば、以前の状態に戻すことができる。1期目からは各科目の残高だけ転写して、仕訳の中身が見たくなったらバックアップから復元すれば問題ない。
すでに決算確定・申告済みの仕訳を編集することは、基本的にありえない。いざというときのためにデータだけ残しておけば十分だろう。
仕訳帳自体をPDF印刷しておけば、それで十分ともいえる。
無料版でも複数事業所を扱える?
無料のLite版で仕訳はエクスポートできないため、2期目については画面をキャプチャーして記録を残しておく。
FAQに従い会計データを新規作成しようとするが、「既にこの会社コードは使用されているため新規作成できません」というエラーが出る。
しかし会社コードは初期状態の0000から変更できない。作成済みデータの会社コードも0になっている。
無料版は「登録できる会計データ数1」なので、そもそも複数の会社情報は持てないのだろうか。
試行錯誤して会社の名前を変えたりしてみたら、なぜか同じ「会社コード0」のまま別のデータを作成できた。そのまま新規の仕訳入力も可能。
ひょっとするとフリーウェイ経理は弥生会計PC版のように、Liteのままでも複数事業所を扱えるのだろうか。
新規作成時の業種区分では、法人だけでなく個人も選べる。この調子で副業の帳簿管理も1台のパソコンで可能なように思われる。
会計データの合併は無理
念のため「データ入力>105 会計データ管理>6 会計データ合併処理」のメニューから、決算年月日修正後のものに旧データを統合できないか試してみた。
しかしこれは「決算年度の異なる会計データがあるため、残高ファイルの合併はできません」というエラーが出た。
合併オプションは「仕訳・マスタ・残高」の3つともオンにした状態。
次の画面の「会計コード/年度チェック」は外しても解決しなかった。
どのみち2期目の新データがつくれれば古い仕訳は無理して統合する必要がない。バックアップはとってあるので、引継ぎが終わったら1期目の会計データは削除しておいた。
ちなみにフリーウェイ経理の会計データを削除するには、「データ入力>105 会計データ管理>…」ではなく「ユーティリティ>601 ファイル管理>5 会計データ削除」から行う必要がある。
新規作成や複写とは別に、削除メニューだけ別のところにあるのはややこしい。誤操作防止のために、わざと見つけにくくしているのだろうか。
前期の科目残高を引き継ぎ
計画どおり新規作成した会計データに2期目の仕訳を打ち込む。その前にやるべきことは、1期目の科目残高を引き継ぐ作業だ。
やり方としては1期のデータを開き「帳票印刷①>全科目合計残高試算表」から決算月の繰越残高をPDFに出力。
2期目に引き継ぐのはBS関連の貸借科目だけでよい。ここから1120普通預金や4170預り金などの数字をピックアップして、2期の科目残高に転記する流れになる。
2期目の残高入力に関しては「データ入力>科目残高入力>2 前期残高データ入力」から操作できる。しかしここに数値を入れても、なぜかデータに反映されない。
マニュアルを読むと「2 前期残高データ入力」ではなく「1 当期残高データ入力>期首残高」の方を選ぶ必要があるようだ。このあたりが微妙にまぎらわしい。
預金や借入金の残高をいくつか入力。1期目は赤字だったので、7330繰越剰余金にはマイナスの数字を入れる。
すべてのBS科目を入れ終わると、借方合計と貸方合計が一致して差額がゼロ(空欄表示)になる。これで科目残高の引継ぎは完了。
その後2期目の仕訳日記帳を開いて、すでに発生してしまった仕訳を根性で打ち直す。
有料版であれば避けられたマニュアル作業。タダで使わせてもらっている以上、このくらいの不便は我慢するしかない。
時間はかかったが、なんとか無償版のまま決算日修正を済ませることができた。
意図的に決算日を変更したい場合
会社を始めてだいぶ経ってから、諸般の事情で決算日や会計期間を変更したいときがある。
たとえば決算月を年度の節目で3月に設定すると、他の企業とかぶって税理士さんの繁忙期に重なる。前の会社ではそう考えて半年遅れの9月締めに設定したが、後から考えるとこの時期は「中間決算」という第2の繁忙期にあたっていた。
決算月に対して特にこだわりはないため、あえて会社も顧問の税理士さんも暇そうな時期に会期をずらしてみた。株主総会を行い役所に届け出して、会計ソフトの設定をいじれば手続きはすんなり完了した。
今後また決算月を変更をしたい場合、フリーウェイ経理の無料版では旧データを捨てて新規に作り直すことになるのだろうか。
無料版ではやはり手作業が必要
公式FAQにその場合の対処法が掲載されていた。やはり無料版ではどうやってもデータを引き継げないようだ。
(参考)決算年月日が変更になる場合は、どのような対応が必要ですか。(フリーウェイ経理Lite(無料版)をご利用の場合)
過去データをUSBに複写して新規データを作成する手順は書かれている。しかし古い仕訳や科目を引き継ぐ方法については一切説明がない。
おそらく今回試したように、前期データからBS科目残高を転記する作業が必要だろう。多少の手入力は必要だが、新データに仕訳を入れる前であれば案外スムーズに終わるはず。
少なくとも無料版の「データのエクスポートができない」という制約から、焦って有料版に切り替える必要はない。
Pro版の決算日変更マニュアルを見ても、やっていることは同じ。CSVファイルを介して科目残高とマスタを移行するだけのようだ。