別のブログでタイムリーな記事を熱心に書いていたら、めずらしくバズって5千PVを超える日が数日続いた。以前にも単発的に似たような現象はあったが、さすがに1日1万PVともなると、サーバーの負荷が増えてサイトにつながりにくくなった。
現在使っているのはバリューサーバーのスタンダードプラン。その前に使っていたXREA Plusに比べると値段相応、格段に早くなったが、アクセスが増えるにつれてこれも限界があるようだ。
WordPressの運営には定評のあるエックスサーバーにでも変えてみようと思ったが、新しく出ていたConoHa WINGというサービスに興味を持った。バリューサーバーからのWordPress移行で多少手間取った点があったので、メモしておこうと思う。
バリューサーバーの転送量目安は怪しい
バリューサーバーのスタンダードは年払いで税込4,320円。この価格でディスク容量は100GB、ドメインもデータベースも無制限なので、恐ろしくコスパの高いサービスだ。
バリュードメインは10年来お世話になっていて、サーバーもXreaからCORESERVERまで一通り試した。個人レベルで趣味程度にブログを書くなら激安のXREA Plusで十分。ただし、数年前のリニューアル直前にXREAが使い物にならないくらい遅くなったので、耐えきれず現在のバリューサーバーに移行した。
スタンダードプランの仕様をみれば、「快適にご利用いただける目安」は「~300GB/月、~300万PV/月」。単純計算すれば、1日当たり平均10万PVまでは「快適に」使えるはずである。
1日10万PVともなれば驚異的な数値だ。一生かかっても達成できそうにないし、これより上位のプランは縁がないと思っていた。ところが上述のように、1日1万PV程度の負荷でもスピードが極端に落ちる。完全にサイトが見えなくなるほどではないが、4G/LTE回線で個別ページの読み込みに15秒もかかると、さすがに見る気が失せる。
速度低下の原因は自サイト以外にも…
もともとウェブサイトに画像が多いとか、条件にもよるかと思うが、おそらくバリューサーバーの転送量目安はサバを読んでいる。あるいは共用サーバーのため、他のユーザーの過剰な転送量でスペックが劣化したかだ。
別にアクセスの多くない日でも、夕方~夜の時間帯になると妙に接続が遅くなるときもある。サイトの閲覧だけでなく、記事の編集や更新など管理画面の作業も妙にもっさりしてくるのがストレスだ。
サーバーのコントロールパネルから、アクセス統計・ログを見てみても、いまいち原因はわからない。1日当たりの転送量は、全ドメイン合計で平均1GB強、アカウントの負荷率(CPU)は平均6,000pt程度だが、多い日は20,000ptを超える。ざっと見て、「~300GB/月、~300万PV/月」の快適利用上限には全然達していないと思う。
それほど知識のない一介のユーザーとしては、サーバーが遅くなる本当の原因をうかがい知ることもできない。競争の激しいレンタルサーバー業界なので、何か不具合があれば利用者はほかのサービスに乗り換えるだろう。スペックと価格の関係は、株式市場のように「効率的」に形成されていると思う。
時間課金がユニークなConoHa WING
利用料が月額千円、年間1万円を超えるような高級レンタルサーバーは高根の花だと思っていたが、ブログの収益的に不可能ではなくなってきた。逆に少しでも表示時間を高速化して、読者さんのストレスや離脱率を低減できれば、長期的にプラスの投資になるはずだ。
バリューサーバーの上位ビジネスプランだと年額21,600円(税込)。コアサーバーのCORE-Bが少し安い9,428円(税抜)で、バリューのスタンダードと間を埋める価格設定になっている。CORE-Cは年額38,000円(税抜)もして同社の共用サーバーでは最上位のサービスだ。
次にステップアップして月額1,000円の予算となれば、他社の中堅プランも候補に入って来る。エックスサーバーは前から気になっていたが、いろいろ調べると9月末にスタートしたConoHa WINGというサービスがおもしろそうに見えた。
運営元は大手のGMOなのである程度信頼は置ける。ConoHa自体はもともとVPSのサービスで、レンタルサーバーのWINGも提供し始めたという背景のようだ。WordPress向けの最適化でエックスサーバーより2倍も速いと暗にうたっているし、初期費用がゼロというのも好感が持てる。
料金的な面では、他社のように「10日間無料お試し」という試用期間がない代わり、月額でない時間単価のユニークな課金制度になっている。月の途中で契約・解約しても、利用時間分のみきっちり請求されるという明快な料金計算だ。最低利用期間の縛りもなく、価格意識の高いユーザーに対して地味にメリットは大きい。
エックスサーバーのX10プランで月額1,000円を切るには、実質的に2年以上の長期契約が必要になる。長年、安定稼働しているサービスとはいえ、過去の経験からすると途中で乗り換えたくなる可能性はある。スペックはともかく、「課金の縛りが少ない」という意味では、ConoHa WINGが有利に見える。
「WordPressかんたん移行」がうまくいかない
月額1,000円クラスの共用サーバーとしては、現時点で一番スペックの高そうなConoHa WINGのベーシックプラン。時間単位の課金なので、とりあえず使い勝手を試してみようと思って申し込んでみた。
レンタルサーバーの契約でSMS認証というのも不思議だが、クレジットカードを登録してすぐに利用開始できた。コントロールパネルは読み込みがちょっと遅いが、すっきりした見た目のインタフェースで好感が持てる。
ConoHaの売りの機能である「WordPressかんたん移行」を使ってみたが、移行元のサーバーやWordPressテンプレート・プラグインとの相性があるのか、すんなりとはいかなかった。結局、ほぼ手動でデータベースのインポートなど必要になったので、つまづいた点をメモしておこう。
まず移行前に、コントロールパネルの左メニュー、「サーバー管理>ドメイン」から移転予定のドメインを追加する必要がある。デフォルト設定のままだと「かんたん移行」したWordPressが、public_html/○○.conohawing.comのディレクトリに展開されてしまう。
「サイト管理」から追加したドメインに切り替えて、「サイト設定>アプリケーションインストール」で「WordPressかんたん移行」を「利用する」にチェック。すると移行元のWordPressログイン用ユーザー名・パスワードを入れるだけで、自動的にデータをコピーできるようになる。
このユーザー名とパスワードは、データベース用でなくWordPress管理画面用のものなので注意。ConoHa側で新しく作成するDBの名前とユーザー名・パスワードは任意に設定できる(旧サーバーのDBと合わせる必要はない)。
保存して設定反映、アプリケーションインストール画面の「構築中」ステータスが完了するまで、70記事程度の小規模なブログでも15分くらいかかった。その後、上側のタブで「基本設定>動作確認用URL」をONにしてサイトを見ると、なぜかWordPressインストール後のデフォルト画面が出てしまう。
FTPでディレクトリの中身を確認すると、WordPressの構成ファイルはごっそりコピーできている。データベースのメニューからphpMyAdminでテーブルの中身を見てみると、旧サイトの内容がまったく反映されていない。
wp_optionsの上部3つ、siteurl/home/blognameにはSSL抜きでサイトのドメインが入力されている。それ以下はblogdescription=Just another WordPress siteで、初期状態に戻ってしまっている。せっかく苦労したサイトがJust another(どうでもいい)になってしまうのは悲しい。
結局手動でDBの中身をコピー
そこからネットでいろいろ調べて、設定を変えつつ「かんたん移行」を4回くらいやり直したが、全然うまくいかなかった。怪しいプラグインを停止するとか、WordPressからログアウトしておくとか…元サイトに自動で追加されたWing WordPress Migratorのプラグインを明示的に有効化してみたが、それも効果なし。
※以下のサイトは移行できません。
・ WordPressのバージョンが3.8.5より古いサイト
・ PHPのバージョンが5.3より古いバージョンを利用しているのサイト
「ConoHa WINGご利用ガイド」より
移転元のバリューサーバー側は、WordPress 4.9.8、PHP5.6.36なので、この条件は満たしている。
結局、元サーバーからエクスポートしたDBのバックアップファイルを、新サーバーにインポートして、wp-congin.phpのテーブル接頭辞など必要個所を手動で修正。まだ記事数も70程度と少なかったので、前回バリューサーバーに移行したときほど苦労せずにインポートできた。
3時間くらい試行錯誤して、地道な方法でConoHa側にWordPressのブログを再現できた。「かんたん移行」で自動生成されたDBを使いまわしたので、データベースとユーザー名に変な英数字の接頭辞が付いてしまったのは気になる。動作上は支障ないが、何か気持ち悪いので、またあとでDB作成からやり直すかもしれない。(「かんたん移行」を使わない通常のWordPressインストールでも、DB/ユーザー名の接頭辞は付けられてしまうようだ)
動作確認用URLでもサイトの見え方が問題ないことを確認できたので、ようやくバリュードメインの方でネームサーバーをns-a1.conoha.ioなどに設定変更。一晩明けて8時間後くらいに見たら、新サーバーの方が参照されるようになった。
ConoHa側のSSL設定は、ネームサーバー設定変更後5分くらいで「サイトセキュリティ>無料独自SSL」からONにできた。SSLの利用設定はボタン1つで済むので、バリューサーバーより簡単だった。
ここでびっくりしたのが、ブログの個別記事がすべてNot Foundになってしまう点だ。こちらのサイトのアドバイスを参考に、WordPress管理画面でパーマリンクを保存し直したらすぐに修復できた。
スマホもPCも読み込み1秒短縮
とりあえず切り替えに成功したConoHa WINGベーシックプランの体感速度としては、バリューサーバー・スタンダードよりPC/スマホどちらも1秒くらい読み込みが早い。わずか1秒だが効果は絶大で、サイト内を巡回するストレスがぐっと減る。また、管理画面を操作したり、記事を更新する内部的な作業も速くなるのがありがたい。
今のバリューサーバーより料金3倍くらい高くなる計算だが、アクセス変動に関わらず常時このスピードを維持できるなら、投資効果は高いと感じた。サーバーのスピードアップでPV数やAdSense収入がどう変わるかは、しばらくConoHaを使って観察してみたい。このブログは比較のためまだバリューサーバーに置いているが、調子がよければ同じくConoHaに移行する予定だ。当サイトもコノハに移行しました。ちょっパヤです。
LiteSpeed Cacheが有効化できない
とりあえずConoHa WINGの売りであるコンテンツキャッシュはONにしてみた。ブログで使っているSimplicityテーマの高速化テクニック(.htaccessの圧縮設定)と競合しないか心配だが、ひとまず併用して不具合は出ていない。
もうひとつ、LiteSpeed Cacheのプラグインも導入してみたが、こちらはテーマ関連のWarningが出るせいか、エラーで有効化できない。
Warning: parse_url() expects parameter 1 to be string, array given in ○○○/wp-content/themes/simplicity2/lib/punycode.php on line 26
というのが管理画面の上部に4行くらい表示される。さらにLiteSpeed Cacheの設定で、
このページのキャッシュ機能は現在利用できません!
> サーバレベルでLSCacheモジュールを有効にするか、ホスティングプロバイダにお尋ねください
という警告が出る。
ConoHaのサーバー自体は対応しているはずだが、Warningが出ているSimplicityとの競合だろうか。ほかに支障が出そうな同類のプラグインも入れていないので、原因は不明だ。とりあえずLiteSpeedなしでも十分体感速度は速いので、しばらく様子見とした。
サーバーの応答速度は大幅に改善
コンテンツキャッシュだけONにした状態で、GoogleのPageSpeed Insightsは最適化項目がモバイルで42から66に、PCは83から91まで向上。下の方で「サーバーの応答時間を短縮する…お使いのサーバーは1.1秒で応答しました」というサジェスチョンも表示されなくなった。
GTmetrixはPageSpeedScoreが67%から87%に向上し、YSlow Scoreは84%のまま。Fully Loaded Timeは5.1sから1.6sと劇的に改善されている。
さすがエックスサーバーをもしのぐ最新サービス。投資額に見合った高速化は十分期待できそうだ。新サービスのため、投資信託と同じで実績が全然ないのは心配だが、年間契約どころか月額未満の時間課金なので、不満があればすぐ他社に乗り換えられる。
しばらく使ってみて、また気づいた点があれば報告したい。