リリース直後の2週間は、ゲーマーの夢が叶ったとばかりにポケモンGOにのめり込んだけんこうさん。ポケモントレーナーは自分の天職でないかと思い、仕事を辞めてポケモンに専念しようかとすら思った。
一時は肌身離さずスマホを握りしめて、常にポケモン出現のバイブにスタンバイしていないと不安になるくらいの中毒症状に見舞われた。しかし1か月が経ち、もう2週間以上ポケモンGOを立ち上げていないことに気づいた。やる気も生きがいも完全に失った…。
最後に手に入れたポケモンは、10kmタマゴが孵化したCP1209の目つきが悪いブーバー。しかしレアキャラゲットしても何の感動もなく、それが最後のポケモン起動になった。
ポケモンGOをあきらめた本当の理由
ここ一か月の自分のブログ、ポケモン日記を読み返すと、最後の方はジョギングついでにぽ消ストップを回したり、富士山やリゾート地に行ってアプリを試したり、すでに飽きてきたポケモンGOをなんとか続ける理由を探していたように思う。新しい遊び方や、未知の現象を発見できれば人に自慢できると思って。
だが、もはやルーチンと化した近所の雑魚ポケモン捕獲とポケストップ巡り、レベル20以降に必要なXPの絶望的な数値を見て、やる気を保てなくなってしまった。ゲームの目的が不明、バランスが悪い、ソーシャル要素がない、などポケモンの欠点や不具合はいろいろ挙げられる。だが自分がポケモンをやらなくなった最大の理由を考えると、まわりの人が普通にポケモンで遊ぶようになって、他の人と差別化を図れなくなったからだと思う。
上には上がいる。職業ゲーマーには絶対かなわない
リリース直後のお祭り騒ぎでは、早めにレベル20くらいに到達するとジムバトルで活躍できたし、まわりに自慢できる話のネタになった。ところが、もっと本気でやり込むゲーマーや、職業的に身を捧げるYouTuber的な人には全然かなわないとわかった。レベル33のプレーヤをジムで見ただけで、この程度やり込んだくらいでは何の取り柄にもならないと悟った。
普通の人もポケモンをやるようになった
一方、近所の公園でポケモン人口を定点観測していたが、8月中、猛暑や台風の日はないとしても、平日の夕方からわらわら人が集まってきて、いまだに熱気が失せないのは不思議だった。
ポケモンの巣になっている公園にわざわざ足を運ぶほどアクティブなユーザーなら、数週間でそれなりのレベルになって、自分と同様に飽きてくる頃だと思う。それでも延々と公園にプレーヤーが供給されてくるということは、ちょっと遅れてポケモンやり始めた層が存在すると仮定できる。
ポケモンについてはキャズム理論の普及曲線でいうとアーリーマジョリティ。あるいはもうピークを越えてレイトマジョリティまで参入しているような気がする。正直、このレベルに達したサービスには、ブロガーあるいはベンチャービジネスとして関わるうまみが少ない。同じ労力をかけるなら、ポケモンより普及率16%のクラックを超えていない別のゲームや新ネタを探した方が目立てる可能性が高い。あるいは5年くらいして誰もポケモンをやらなくなった時に、枯れた技術の意外な活用法を紹介するとか、そういうパターンがおもしろい。
「他の人と同じことはしたくない、流行りものは嫌い」という天邪鬼な性格で、先行者利益を得られることもあるし、棒にも箸にもかからず大失敗するときもある。
ポケモンをやっている人の見た目がやばい
ここまで全世界的に普及した位置ゲーは初めてなので、付随して起こる様々な社会現象を興味深く観察している。
世間的にポケモンがバッシングを受けている理由として、歩きスマホが確実に増えた。スマホを持って突っかかってくる人は、たいていポケモンをやっている。画面を見なくもボールを投げる指の動きでわかる。自転車に乗りながらスマホを操作している人とかは、マジで勘弁してほしい。道交法的にグレーだが、自転車スマホに比べればヘッドフォン装着も傘差し運転もかわいく思えてくる。
ほかにも私有地への立ち入りなど、一部のプレーヤーのマナーの悪さが目立って、ポケモンにとどまらずスマホゲーム全般がネガティブにとらえられるようになってきた気がする。満員電車の中でも、ポケモンをやっているが他に当たって口論になるのを目撃した。
最近では、いい大人が集まってポケモンの話になると、「やっている人やばいよね」というムードになりつつある。非プレーヤーから見ると、公園でポケモンに熱中している集団は、ゆらゆら動くゾンビの群れのようだ。ときどき顔を上げて、我に返ったように呆けた表情を見せるのはポケモン中毒の兆候。かつて自分もその一員だったが、まわりから見ていかにポケモンプレーヤーがうざいか、ゲームにはまっている当人は気づかない。
社会現象としては引き続き興味がある
これまでの経験から、「人間、本質的に非合理で不経済と理解していることは長続きしない」と考えている。引きこもりとか犯罪者であり続けるには、当人なりの大義名分を打ち立てて維持しないと、よほど難しいことだと思う。
ポケモンが唯一「友達に自慢できる」というインセンティブを失ったら、なんらの経済活動にもつながらないゲームとして、いずれ飽きるのは目に見えていた。全国同時発生の熱狂的興奮に関われたことには感謝するが、今後はプレーヤーとしてではなく、ポケモンGOが社会現象としてどのように波及し歴史に残っていくかに興味がある。
一部のMMORPGのように、ポケモン世界の職業で生計を立てられたり、ポケコインを電子マネーと交換できるとか、リアルマネートレードがポジティブに認められたら快挙だと思う。