今のマンションは家具備え付けなのがメリットだが、長く住んでいると趣味が合わず変えたくなるときもある。机に備え付けの椅子が、キャスターのないダイニングテーブル用のチェアで、座ったり立ったりするときに引くのが面倒に感じてきた。普段オフィスで使っているのがSteelcaseの中古Thinkチェアなので、自宅のチェアが余計に貧弱に感じてしまう。
カグスベールで椅子の滑りをよくする計画は失敗
椅子の脚に100均で買ったカグスベールみたいなプラスチック樹脂を貼りつけてみたら、滑りがよくなり多少はましになった。だが、座った状態で荷重をかけて滑らすと、さすがに派手な音がして床に傷がつくの。結局、日常的に作業するデスク用のチェアは、キャスターがついていないとかなり不便だと思った。
1年間は我慢していたが、さすがに厳しいので椅子だけ買い替えを検討した。いつ退去するかわからず、余計な荷物も持ちたくないので、できれば安くてコンパクトな商品を選びたい。「安くて見た目が悪くない。持っていて恥ずかしくない」家具といえばイケア。コスト優先で消極的に選択される、家具業界のユニクロのような存在だ。
イケアの家具は変な色しかないものがある
ウェブサイトを見ると、オフィスチェアのバリエーションは多いが、大半は形や色が気に入らない。3,990円のALRIKは、メッシュほどではないにしても座面と背もたれの穴が蒸れを軽減してくれそうだ。値段もサイズ感もばっちりだが、なぜかバケツみたいなレッドとブルーの2色しかない。ゴミ箱やブルーシートのようで、絶対部屋に置きたくない色だ。北欧人のセンスを疑う。
似たような商品で同じ3,990円のSPORRENだと白とか黒の無難な色があるが、寸法を見ると、サイズが一回り大きそうだ。とりあえず実物を見た方が早いと思い、近くのIKEA店舗に行ってみた。
実物を見てみると想像以上に安っぽかった
IKEAの広い店舗で、目的のワークチェアコーナーにたどり着くのが一苦労だ。入口からレストランにショートカットして、子供部屋・寝室コーナーを逆走した方が早かったかもしれない。ウェブに出ていた商品は、色違いを除きほぼ全品展示されていた。
さっそく目に留まったALRIKに座ってみて、サイズ感は手頃、シートの昇降幅も結構大きいので、色以外は問題ないと思った。次にSPORRENをチェックしたが、こちらはやや大きく武骨で、座面の穴から土台にねじ止めしている部分が見えるのが、かなり安っぽい。シンプルなホワイトかブラックの配色があれば、間違いなくALRIKを選びたいところだ。
少し上のグレードの7,990円~FLINTANは背中がメッシュで気持ちよい。オカムラやイトーキの普及価格帯オフィスチェアを買うくらいなら、FLINTANの方がよっぽど快適でリーズナブルだ。
キャスターロックに辟易し、廉価チェアの購入断念
いくつか試してみて、どの椅子もキャスターの滑りが悪く傷んでいるように感じられた。展示品で酷使されているので、すぐに壊れてしまうのだろうか。そうなると耐久性が心配だ。
しかし値札を見てみると、「重量がかかっていないときは、キャスターがロックされます」という説明書きがあった。なるほど安全対策らしいが、座るときに椅子は机から引き出すし、使い終わったら机に寄せて場所を取らないようにしたいので、座らずに椅子を動かすことは頻繁にある。椅子を動かすためにわざわざ座って移動するというのも不便だし、正直自分にとってはこの機能がなんで存在するのかわからない。
スーツケースの4輪キャスターなら、置いているときに勝手に滑らないのは優れた機能だと思う。しかし、家の中で床が傾いているならともかく、日常用途で椅子のキャスターをロックする必要があるのだろうか。もしかするとスウェーデンの法規制や習慣が影響しているのかもしれない。
高級チェアにはキャスターロックが付いていない
ほかにも試したミドルレンジまでの椅子は、すべてこのキャスターロック機構がついていた。しかし、最上位の革張りVOLMAR(ヘッド/アームレストの有無により29,990円~)、メッシュバックのMARKUSには、なぜかキャスターロックが付いていないようだ。
もしかすると、廉価帯は何かしらの事故とかクレームが来ないように、あえて不便なキャスターロックを付けて、機能重視で分かっている人が買うハイエンド品には省いているのかもしれない。あるいは、まともなワークチェアを買おうと思ったら、VLMARかMARKUSしか選択の余地がないという販売戦略か。
ちなみにどちらのチェアも座り比べてみたが、背もたれ角度と高さ、シートの前後位置調整ができるので、アーロンチェアに準ずる高級チェア並みの機能を備えている。しかも10年保証。それで全オプション付けたVOLMARでも最高35,990円だから、ハーマンミラーやスチールケースの高機能チェアの購入を考えている人は、候補に検討してもよいかもしれない。イケアなら、同等の座り心地が1/3の価格で手に入る。
イケアの50円ソフトクリーム
結局この日は椅子の購入は見送って、1階で50円のソフトクリームを食べて帰った。2階のレストランでなく、1階入り口からすぐのカフェスペースで50円ソフトと100円ホットドッグは買えるので、ふらっと寄っておやつにするのもよいだろう。
50円だとさすがに量が少なく感じたが、道の駅とかで売っている300円のソフトクリームに比べればコスパは高い。イケアの50円ソフトを6個食べれば相場と同じ値段だが、さすがに3個くらいで飽きそうな気がする。
「わざわざ遠くから来てもらったのに、気に入らなくてごめんなさい。ソフトクリームをあげるから、これで許してね」とイケアさんに言われている気がした。