宮古島からフェリーで多良間島日帰り。レンタサイクルで島一周

今回の旅行で、沖縄本島より南に来るのは初めて。せっかくの機会なので、レース後は1週間休みをとって、宮古島~石垣島を拠点に周辺の離島をめぐってみることにした。

最初に訪れたのは、宮古島と石垣島の中間にある多良間島(たらまじま)。一周20kmくらいの島だが、レンタサイクルを借りて島内の観光名所を回ってみた。

多良間島行きのフェリー

多良間島行きのフェリーは、宮古島の平良(ひらら)港から朝9時に出発する。平良港のターミナルビルに入って尋ねた聞いたところ、「港に出て右手の方に停泊している」と言われて、それとおぼしき船に乗ってみた。

モンブラン

モンブランという名の船で、想像していたよりも小さい。しかも船内は高級感が漂うホテルのようなしつらえで、豪華なラウンジやレストランが備え付けられていた。

どうもこれは観光用の客船で、多良間島行きのフェリーはさらに北の港から出るらしい。出港ぎりぎりだったので、売店のおじさんに軽トラで送ってもらい何とか間に合った。

多良間島のフェリー

フェリーの方は、伊豆大島や佐渡島のレースで利用したような雑魚寝スペースがある中型船舶だった。料金は宮古島~多良間島往復で4,690円、片道2時間の行程なので日帰りも可能だ。

フェリーでの船酔い対策

船内にひとつだけ、初めて見る類の設備があった。ゴミ箱の横に大きめの洗面スペースがある。どうやらこれは船酔い向けの便器らしい。この航路は「黒潮の影響で揺れまくるゲロ船」と聞いていたが、できればお世話になりたくないものだ。

船酔い用の便器

船内には親切にも洗面器が置いてある。まわりの乗客は常連ばかりのようだが、みな洗面器を小脇に抱えてスタンバイ。地元の人でも船酔いに慣れることはないのだろうか。

多良間島フェリーの洗面器

船は港を出てすぐ伊良部大橋の下をくぐる。橋はちょうどこのサイズのフェリーがくぐれるくらいの高さに設計されているようだ。

伊良部大橋の下をフェリーでくぐる

橋をくぐって外洋に出ると、にわかに揺れが大きくなってきた。自分は乗り物酔いに強い方だと思っていたが、さすがに気分が悪くなってくる。念のため洗面器を借りて雑魚寝スペースで横になっていると、いくぶんましになった。

多良間島フェリー内の様子

どうも中型船の周期の長い揺れは体にこたえるようだ。その後、石垣島から波照間島や与那国島行きのフェリーにも乗ったが、この宮古島~多良間島の間が一番つらかった。小型の高速船の方が揺れは激しいのに、そちらは案外酔わないので不思議だ。

宮古島~多良間島航路

波の高さは2.5m。島の売店では「フクギが揺れるくらい風が強いのに、よく船が出たなあ」という話だった。

普天間港~八重山遠見台

なんとか船酔いをこらえて、多良間島に到着した。この季節は北側の多良間港でなく、東の普天間港に着岸するらしい。待機していたバスに乗って島の中心部に向かう。普天間港から集落へのバス運賃は片道400円。

さっそくレンタサイクルをやっているお店を紹介してもらい、自転車を借りてみた。日帰りで数時間の利用ということで料金は500円。よくメンテナンスされた多段変速のママチャリだった。

多良間島のレンタサイクル

まずは島を一望すべく、八重山遠見台に向かう。宮古島に比べて、街中にほとんど島民も観光客も見当たらない。ちょっと坂を上って密林を超えた先に、廃墟のようにたたずむタワーがあった。

八重山遠見台

最上階に上ると水納島(みんなじま)をはじめ、北側のビーチや島全域が見渡せた。水納島は沖縄本島にも同じ名前の島があり、一般的にはそちらの方が有名だろう。多良間島の北にある水納島は、わずかに一家族だけ住んでいて、チャーター便でしか行けない秘境中の秘境らしい。

八重山遠見台からの眺望

展望台から見渡して島の全容を把握したところで、一周ツーリングにスタート。北側から反時計回りに、外周道路を回ってみることにした。

多良間島一周ツーリング

多良間島STRAVA
多良間島STRAVA

北のふるさと海浜公園に、すばらしくきれいなビーチがあった。平日の昼間とはいえ、これだけの広さのビーチを独り占めできるのは贅沢だ。

多良間島のビーチ

多良間島は宮古島からしかフェリーが出ていないので、観光で来る人が少ないのかもしれない。それに比べると、石垣島からアクセスできる波照間島や与那国島の方が観光客は多かった。どちらも日本最南端・最西端という見どころがあるので、遠方にも関わらず訪れる人がいるのだろう。

島の外周道路を淡々と自転車で進む。道路の状態や風景もよく、距離の短いトライアスロンレースを開催してもよさそうな雰囲気だった。島を一周すると24.3kmで、マラソン大会は毎年行われているらしい。

多良間島の外周道路

道中で見かけたのは、人けのないない空港や、ため池、牧場と風力発電など。あとはサトウキビ畑が延々と続く風景だった。飼育されているヤギは紐でつながれておらず、たまに路上に出てくることがある。

多良間島のサトウキビ畑

途中から残り時間が少なくなってしまったので、ショートカットして市街地に戻った。

普天間港の神社

自転車を返却して、13時のバスに乗り普天間港に戻った。出港まで少し時間があったので、港の近くにある普天間御獄に行ってみた。沖縄の島々には「うたき」や「おん」と呼ばれる神社が多くある。台風対策のためか、鳥居はたいていRC造だ。

普天間御獄

フェリーでは乗客と一緒にヤギも出荷されていく。宮古島でヤギ汁にされてしまうのだろう。その後、宮古島に戻って総合体育館で行われるレースの表彰式とパーティーに参加した。

日帰りの強行ツアーだったので、多良間島の滞在時間は実質2時間程度。めったに来られる島ではないので、一泊してみてもよかったかと思う。