膝の治療を受ける中で、地味に役立ったアイテムを紹介しよう。入院中の介護用シューズと、膝から下が分離できるコンバーチブルパンツだ。ちょっとした投資で入院中快適に過ごせて、通院時の服装にも悩まなくなる。
あゆみシューズの「早快マジック」
病院内では普通のスニーカーで過ごしても問題ない。ただし手術後は膝が曲がりにくくなるので、簡単に着脱できるスリッパ型のシューズがあると重宝する。もし普通の靴で間に合わせるなら、アッパーやかかとがニット素材で伸縮するタイプなら便利だ。
たまたま入院時に履いてきたスニーカーが寸法きつめで、手術後は足がむくんでしまい、ますます履きにくくなってしまった。靴下も履くとますます入りにくく、曲がらない膝で靴を着脱するのは汗を流しながらの大仕事になってしまう。
病院内の売店で探すと、室内履きのスリッパが売られていた。見た目がもろに介護用品っぽいので買うかどうか数日迷ったが、さすがに耐えきれず購入した。定価でもせいぜい2千円ほどだ。
商品名は、あゆみシューズの「早快マジック」。インソールは柔らかいタオル地なので、素足で履いても肌触りがよい。適当に足を入れてマジックテープで甲を止め、かかとの紐を引っ張って布をかぶせれば簡単に履ける。さすが専用品はつくりが違うと感心した。
若い人にも勧めたい介護用品
足のサイズは26.5~27cmだが、3Lサイズでは少々大きすぎた。フィット感はベルクロで調整できるため、多少ぶかぶかでも歩行に支障はない。むくんだ足には緩めのフィット感の方がありがたい。
本当は「つっかけ」タイプのサンダルを履きたいのだが、転倒防止のため病院内では履けないルールになっている。病室のトイレに行く際も、ちゃんとシューズを履くように指導される。中には厳しい看護師さんもいて、スニーカーのかかとを潰して歩いていると怒られることもある。
まわりで膝の治療を受けている患者は、ほとんど部活やスポーツでけがした若い人が中心。介護用のスリッパを履いている人はひとりも見なかった。しかし「早快マジック」の快適さは中高生にもぜひ教えてあげたい。
地味な紺色や茶色のタイプなら、学校の室内履きとしても使えるような気がする。つま先がオープンで通気性のよいバージョンもある。
膝から下が取れるズボン
膝の治療や検査を受ける際は、丈の短いショートパンツを履くのが基本だ。毎回診察ではベッドに横になって、膝を回転させたり伸展角度を測ったりする。
病院内は適切な気温に空調されているため、入院中はずっと短パンで過ごしても問題ない。しかし涼しい時期に通院するとなると、行き帰りの服装に悩む。長ズボンで来て、診察前にトイレで短パンに履き替える人もいるだろう。
そんな悩みを解決するのが、膝から下がジッパーで取れるタイプの2-wayパンツだ。「コンバーチブルパンツ」や「ジップオフパンツ」と呼ばれている。長さも1/2や3/4くらいのバリエーションがある。
普段はロングパンツの状態で過ごして、診察の時だけ片脚のジッパーを外し、膝を露出させることができる。特にシーネやギプスで固められて普通のズボンを履けない際は、片脚だけショート丈になるパンツが便利だ(着脱する際にはシーネをくぐらせる必要がある)。
病院の待合室で裾を着脱してると、よくまわりの患者さんから「便利そうだ」と声をかけられる。院内の売店で取り扱えば、かなり売れそうな気がする。
コロンビアのコンバーチブルパンツ
自分が持っていたのはコロンビアのコンバーチブルパンツ。昔はカーゴポケットが付いていたが、最近のモデルからは省略されている。たまにマイナーチェンジされるが定番商品として継続的に販売されている(スタンリッジやウッドリッジという名前)。
再入院する際に、別の色を選んでもう一着買い足した。さらにアシックスの薄手ジップオフパンツも購入。家のズボンはほとんどコンバーチブルタイプになりつつある。
地味なネイビーなら、仕事に履いて行ってもそこまで違和感はない。もとからベルトが付いているので、食後はウエストをゆるめたりして調整できる。
ほかにもパタゴニアやモンベルなど、多くのアウトドアメーカーから同種の製品が販売されている。基本的にスポーツ向けの製品なので、化繊素材で乾きも早い。入院中に洗濯する際も便利だ。高級品は生地に伸縮性があるので、リハビリ中も動きやすい。
MRI撮影には使えない
注意点としては、ジッパーの金具があるのでMRIの撮影には使えない。検査に便利かと思って履いて行ったが裏目に出た。自前のパンツは脱いで、パジャマのようなものに履き替えるよう指示された。
コンバーチブルパンツは登山やヒルクライムなど、温度差のあるアクティビティーでも重宝する。タイツやレッグウォーマーで重ね着する必要がなく、妙な締め付けもないので快適に過ごせる。通年利用できて、下手に物を増やしたくないミニマリスト向けの製品ともいえる。