長年、近所の買物、通学・通勤用として乗ってきたサブ自転車を紹介しようと思う。
2006年にBEAT MOONという大阪の自転車屋さんから通販で買ったFR-700Cというモデルで、当時の価格は税込み約3万円だった。いろいろパーツを交換しながら、13年乗り続けてきたことになる。
スペック・交換パーツ
購入時の基本スペック、および交換したパーツは以下の通り。
- ギヤクランク:スギノ50T、170mm
- コースターハブ:リヤ歯数18T
- コースターブレーキ:シマノCB-E110(一度、全交換)
- タイヤ:700C 28C パナレーサー・パセラブラックスからツーキニストに交換
- チューブ:サギサカの肉厚チューブに交換
- ハンドル:フラットバーからProfile DesignのStoker26(400mm)に交換
- ステム:上記ブルホーンバーに適合するProfile Design H2O(90度)に交換
- ブレーキバー:Profile Design Quick Stop2に交換
JtekのDouble Controlで左右のバーをフロントブレーキを連結 - サドル:Profile DesignのTri Strike(クロモリ版)に交換
その後、アンカーの完成車についていたサドルに交換 - ペダル:Wellgoの樹脂製ペダルに交換
完成車についていたパーツは価格相応という感じだが、後輪にコースターブレーキが付いているのが特徴といえる。
コスパ最高のスチールロード
フレームは価格帯的にクロモリではないハイテン鋼。塗装は渋い艶消しブラック。細身のトップチューブは水平で、どこにでもありそうなクラシカルなスチールバイクといえる。購入時にフレームのロゴプリントは省略してもらえた。
見た目は当時流行りのピストに似ていて、都心を走ってもさまになった。フレームにロゴがないので、正体不明の特注高級フレームに見えないこともない。渋谷あたりを走っていて、物好きな人から「どこのブランド?」と何度か声をかけられた。
ほぼ見た目と価格だけで買った、ママチャリに毛の生えたようなロードバイク。その後、別のカーボンロードを買って違いがわかるようになったが、この丈夫なスチールバイクがわずか3万円で手に入ったのはお買い得だったと思う。
室内保管の高価なカーボン製ロードバイクとは別に、こちらはマンションの駐輪場に置いている。ときには屋根のない場所にさらしていた時期もあったので、パーツやスポークが錆びてきた。タイヤやチェーンの消耗品はもう何度か交換した。
チェーンリングは一度も交換していないので、歯が丸まってチェーンが外れやすくなっている。前後のホイールもメンテしないないので多少振れが出ているが、スポークが多くて頑丈なのか目立ったトラブルは出ていない。
見た目だけTT仕様に変更
ギア比は前50/後18=2.78で、シングルスピードとしてはやや重めの設定。そのため、平地で踏み込めば38km/hくらいまでは速度を上げられる。
上りはきついが、街中にあるちょっとした坂なら立ち漕ぎでなんとかこなせる。おかげでダンシングのスキルとバランス感覚を養うことができた。
このバイクは平地専用と割り切って、TTバイク風の見た目に替えてみることにした。ハンドルまわりはProfile Designで統一して、安価なアルミのブルホーンバーに交換。ワイヤーの取り回しに苦労したが、ブレーキレバーも専用のものに替えた。
元から付いていたフラットバーだと手首が疲れる上、ハンドルを回す動作が大げさになるのが気になった。ブルホーンに替えるとハンドル幅が400mmに狭まり、操作性は改善できた。特に体が窮屈になることもなく、狭いところをすり抜けるのも楽になった。
廉価エアロバー
さらにショートリーチの安いエアロバーを付けたみたこともある。Mr. ControlのClip on bar。手首や肘を預けるパッドがないので、やや不安定な姿勢になる。上半身を休められる効果もない。
サイクリングロードでちょっとスピードを出したいときに握ると、テンションが上がる。しかし公道ではブレーキが遅れるので、危なくて使える機会がない。フットブレーキで制御しようにも、エアロポジションだと体勢が不安定なのでちょっとした減速に使える程度。
日常利用では、高速走行時の空気抵抗減より、重さが増すデメリットの方が大きいパーツだった。飾りとしてはよかったが、そのうち飽きて外してしまった。
Profile Designのサドル
サドルも同じメーカーのTri Strikeに替えてみたが、中間~先端部分のスポンジ部分が雨水を吸ってかんばしくなかった。トライアスロンでスイム後の全身ウェットな状態なら気にならないのかもしれないが、外置き・街乗り用としてはきびしい。ママチャリでよくやられているように、スーパーのビニール袋でもかぶせたくなるくらいだ。
スポンジ部分がへたれるのも早かった。坐骨が乗る後ろ部分の弾力性は強いが、吸水する部分のクッション性は頼りない。街乗りのリラックスポジションで極端に前傾しなければ、サドル中央の溝も必要ない。
結局、アンカーのロードバイク完成車についてきたサドルが座り心地よかったので、こちらに交換してしまった。サドルは体との相性があるので、高い製品が良いとは限らない。ノーブランドの廉価品が案外しっくりくることもある。
ツーキニストと肉厚チューブ
購入後に交換したパーツでもっとも費用対効果が高かったのは、タイヤとチューブだ。最初からパナレーサーのパセラブラックス28Cが搭載されていて、耐久性は抜群だった。その反面、「ブラックガムウォールサイド」という強化されたサイド部分が固すぎて、ホイールにはめるのに苦労した。
パナレーサーの上位版で、定評のあるツーキニストに替えてみたら、耐久性はさらにアップした。同時に中身も肉厚チューブという製品に替えてみたら、ここ5年くらい一度もパンクしていない。
そして不思議なことに、中の空気がほとんど漏れない。まったく空気を補給しなくても、そこそこの空気圧を保ったまま半年くらい乗り続けることができる。
街乗り自転車として、ツーキニスト+肉厚チューブの組み合わせはコスパの高いおすすめの構成だ。3万円の自転車に一本4千円のタイヤというのは贅沢だが、パンク修理と空気入れの手間を確実に減らせる。特に道中のトラブルを避けたい通勤ライドにはぴったりだ。
予算的にタイヤ交換が厳しれば、肉厚チューブを変えるだけでも効果を実感できると思う。
最近はオフロード向けのグラベルタイヤも出てきたので、パンクしにくいタイヤの選択肢は増えた。ツーキニストでもちょっとした砂利道くらいなら走れるが、同じパナレーサーのグラベルキングあたりに替えればさらに安定感は増すだろう。
WellgoのSPD-SL風樹脂ペダル
もともと付いていたWellgoのペダルは、使用11年目で壊れてしまった。使い込むと中央部分の樹脂製カバーに穴が開いて、踏み面がグラグラ不安定になる。
ペダルに特にこだわりはなかったので、同じWellgoの安い樹脂製ペダルR-198に替えてみた。
千円以下の格安品だが、形がシマノのSPD風に縦長なのがおもしろい。クリートを固定できる機能は付いていないが、この方が母趾球がペダルに接して効率よく推進力を伝達できるような気がした。
10年以上付けていたペダルは、さすがに固着して外れにくくなっていた。ペダルレンチを思い切り足で踏んだら、ようやく取り外すことができた。パーツや工具が数メートル吹っ飛ぶくらいの力が必要で、かなり危ない。
Wellgoの樹脂ペダルは両面に反射板が付いているが、つま先側はすぐに外れて左右とも行方不明になってしまった。本体へのねじ込みが弱いのか、これは構造的な欠陥に思われる。
また、重心が適切に設計されておらず、ベアリングの摩擦も大きいのかクランクと一緒にペダルも回転してしまう。シマノのSPDペダルなら自然と後部が下になるので、クリートをはめるときはつま先で先端を押せば、すぐに定位置に戻る。
Wellgoのペダルは、無意識に使っていると踏み面が逆になることが多い。やがて慣れてくると、足の裏の微妙な違いがわかるようになり、つま先でペダルを回して正しいポジションに戻せるようになる。
プラスチック製のわりに見た目はかっこいいが、使い勝手は値段相応という製品だ。ストップ&ゴーの多い普段使いなら、両面踏める普通のペダルの方が向いていると思う。