宮古島トライアスロン前の調整も兼ねて、街乗り用自転車で奥多摩に向かってみた。
日原鍾乳洞と小河内ダムを見学。坂はきついが、ギアなしのシングルスピードバイクでも、ここまでは何とか上ることができた。
青梅街道名物へそまんじゅう
4月の休日、玉川上水の取水堰では「さくら祭り」、その先では羽村市の「チューリップ祭り」が行われていた。見物するのは楽しいが、沿道で祭りがあると自転車は通れなくなる。
青梅街道の日向和田駅~石神前駅間にある、「へそまんじゅう」の店に寄ってみた。
青梅マラソンのコース上にあり、練習中のランナーもよく訪れる常設エイドステーション。奥多摩に向かって並走する吉野街道・梅郷近くにも支店がある。
1個100円(税抜)で白か黒を選べる。中身はどちらも粒あん。少し大きめの温泉まんじゅうという感じだ。
今日は奥多摩駅を過ぎた先の交差点「日原街道入口」を右折。ここから鍾乳洞までは7.2kmと表示されている。
奥多摩駅まではギアなしの自転車でもなんとか上れたが、日原街道はさすがに勾配がきつくなる。時速6kmくらい、倒れないぎりぎりの速度でゆっくり坂を上っていった。
途中にある全長1,107mの日原トンネルは、奥多摩側からは上り坂。交通量は少ないが歩道を走った方が安全だ。
観光客で賑わう日原鍾乳洞
トンネルを抜けてしばらく進むと、ようやく日原鍾乳洞に到着。こんなへんぴな場所でも、駐車場は行列ができるくらい賑わっていた。鍾乳洞という渋い観光地にしては、若いカップルや女の子のグループがやけに多い。
川沿いの入口まで長い階段を下ってアプローチする。内部も階段だらけでバリアフリーの設備は一切ない。足腰が丈夫なうちに訪れておきたい場所だ。
内部の気温は11度。上着がないと寒くてきびしい。迷路のように続く狭い通路は、まるで遊園地のアトラクションのようだ。歩道は整備されているので、普通のスニーカーでも問題なく歩ける。
鍾乳洞の中は予想外に広かった。しかも通路が立体交差している部分も多く、一番高いところでは4階建てのビルくらい高低差があった。階段も勾配がきついところがあり、手を使わないと登れないような坂もある。
洞窟内の見どころ・奇岩にユニークな名前がつけられている。「世紀の断層」「天井知れず」「おとぎの間」「鳩胸」など、B級感がただようネーミングセンス。「松前口」という窪みは、新洞を発見した東海大学探検部にちなんだ当時の学長の名前らしい。真偽はともかく、弘法大師が修行に使ったといわれる学問所もある。
山口県の秋芳洞や石垣島鍾乳洞に比べると、日原鍾乳洞はこじんまりしている。アップダウンが激しく、狭い通路を身をよじらせながらくぐる必要もあり運動量は多い。観光というより、本格的な洞窟探検の気分を味わえる。
新洞の終盤にはライトアップされた大空間が広がる。アクセスが困難とはいえ、宇都宮にある大谷資料館のように結婚式やコンサートのイベントにも使えそうだ。上段にある「さいの河原」の隣に「縁結び観音」が置かれているが、場所的にあまり縁起がよさそうには見えない。
洞窟内に照明はあるが、懐中電灯を持って行くとさらに楽しめる。岩盤の隙間や暗闇を照らして、未発見の新洞がないか調査することもできる。
こういうときに自転車のライトが取り外し可能なタイプだと重宝する。
GENTOSのSG-355Bはハンドル上のホルダーから外すと、コンパクトなハンドライトになる。ツーリングと登山・トレランを組み合わせて活動する際に便利だ。
奥多摩湖~小河内ダム見学
日原から奥多摩駅まで戻り、ついでに奥多摩湖のダムまで上ってみることにした。青梅線の終点から勾配はきつくなるが、日原街道よりはまだ楽なほう。ここもシングルギアのバイクで休み休み上ることができた。
小河内(おごうち)ダムにたどり着くと、湖岸にレスキューのヘリコプターが着陸するところだった。訓練ではなく急患の運搬らしい。ここからだと青梅街道を救急車で上ってくるより、ヘリの方が速いのだろう。
ドリンクを買うついでに、「奥多摩水と緑のふれあい館」の中を見学してみた。内部はニューヨークにあるグッゲンハイム美術館のようなスロープ構造になっている。壁面はラフにペンキを塗りたくって塗装で、ダムから流れる水をイメージしたと推測される。
展示の一部に無料で見られる3Dシアターがある。ダムの建設時、奥多摩の山は今より荒れていて、ダム湖への土砂流出を防ぐため積極的に間伐・保全が行われたらしい。歴史の勉強になった。
レストランでは名物の「小河内ダムカレー」を食べられる。メイド喫茶的なデコレーション費用が上乗せされ、1,000円もする高価なカレーライス。
自転車を下りてダムの上まで歩いてみた。展望塔は耐震工事のため残念ながら閉鎖中。放流口の上から見ると、湖をせき止めているコンクリートの厚みが実感できる。落差もかなりある。
たまにはロードバイクでなく、街乗り用の自転車で奥多摩を走ってみるのも楽しい。普段のツーリングでは素通りしてしまうような、沿道の観光地やお土産屋を開拓できた。
ただし湖の近くは坂も多いので、3段変速でもいいからギアがあった方が有利といえる。重めのシングルギアでも根性で上れないことはないが、無理して背中を痛めそうだ。