ダホンK3に乗り始めて最初に気づくのは、ハンドルに付いているグリップがしょぼいという問題。軽いことだけが取り柄のEVA製で、長時間握っていると手の平が痛くなる。
定評のあるエルゴングリップに交換したいが、適切なバーエンドの長さがわからない。そこで安いバーエンドバーだけ買って、車体の折りたたみに支障が出ないか検証してみた。
初期装備EVAグリップの問題点
K3に最初からついているグリップはスポンジ素材の超軽量タイプ。
見た目からすると、KCNCのEVAグリップと同等品に思われる。この製品の参考重量はペアでわずか12g。
触った感触は悪くないが、素手で握って10キロくらい走ると手の平が痛くなってくる。さらにツーリングで70キロほど走って帰ってくると、両手が赤く腫れてしまった。
対策としては、パッド付きの自転車用グローブを着けると痛みは緩和される。薄い当て布が付いているだけのBBB製格安グローブでも効果はあった。
手の平が腫れる原因は、グリップと接する面積が狭いせいだと思う。エルゴタイプの幅広グリップに交換すれば改善できそうな気がする。
評判がよいエルゴングリップ
フラットバーハンドルのグリップ交換パーツとしては、ERGONの評判が高い。
握る手に合わせて端が広がったエルゴノミック形状で、掌に加わる圧力を分散してくれる。
エルゴンのグリップはバーエンドの長さに応じて1から5までのバリエーションがある。バーが長い方がポジションの自由度は広がりそうだが、ダホンK3の場合は車体の折りたたみに支障が出るおそれがある。
エルゴングリップはペアで数千円する高級品。バーの長さに比例して価格が上がる。できれば各モデルの使用感を比べてみたいが、とりあえず複数買って試すというわけにもいかない。
グリップ部分のゴムの寿命はせいぜい数年らしい。室内保管すればもっと長持ちするのだろうか。2~3年は使い込む覚悟でエルゴンを買うとしたら、間違いのない型番を選びたい。
エルゴンより安いエルゴグリップ
ネットの通販でグリップを探すと、エルゴンとよく似た形で安い類似品が売られている。
聞いたことのないメーカーの格安品は1,000円以下。ギザプロダクツやゴリックスなどの中堅クラスは2,000円台だ。いすれもエルゴンの半額以下で手に入る。
その中でもドッペルギャンガーはバーエンドが可変式で何気に高機能。スペックだけ見ればこれで十分かもしれない。
イオンバイクの安いバーエンドを試す
バーエンドの適切な長さは実際に使ってみないとわからない。そこでまずはグリップなしのバーエンドだけ買って試してみることにした。
選んだのはイオンバイク・オリジナルのアルミ製バー。BBBの定番品よりずいぶん安く手に入った。見た目は素っ気ない金属の棒だが、テストするにはこれで十分だ。
ハンドル芯から先端までのリーチは125mm。直径はK3のハンドルと同じ22.2mm。六角レンチでネジを締めれば、しっかり固定できる。
ただしバー部分が細くて握りにくいうえに、金属むき出しだと汗で滑る。バーエンドにもグリップをはめるか、バーテープを巻いた方がいいと思う。
もうひとつ候補に挙がった単体バーエンドが、サーファスのスタビライザー。店頭で握ったらゴムの触り心地がよかった。
重量はペアで110g。車体を重くせずにポジションを増やすだけなら、サーファスもありだと思う。
ミニマムな改造で快適さをアップできて、費用対効果が高い。価格が2千円以下とリーズナブルなのもうれしい。
ダホンK3のフレームカラーに合わせて、赤・青・白・黒の色を選べる。
既存EVAグリップの外し方
K3のEVAグリップを取り外す作業には、思いのほか手こずった。
素手で外すにはかなりの握力が必要で、少しずつ回しながら引っこ抜くしかない。
グリップに洗剤でも含ませて、滑りを良くすればよかったのかもしれない。エアコンプレッサーがあれば楽に着脱できるらしいが、さすがにそこまでの工具は持ち合わせていない。
よく見るとK3のスポンジグリップは左右非対称で、取り付け方向が決まっていた。
いったん外してから再装着に手間取ったのは、逆向きに付けていたのが原因かもしれない。
グリップ端部にはプラスチックのキャップがはまっている。しかしネジ込み式ではないので外れやすい。
幅広のフラットバーで端が壁に当たりやすいため、いつの間にか取れて行方不明になっていることがある。
グリップの着脱を繰り返すとハンドルとの摩擦が落ちるのか、今度は運転中に勝手に回ってしまう現象が出てくる。街乗りでは差しさわりないが、峠で強く握るとグリップが滑るのは気持ち悪い。
K3をアグレッシブに使い倒すなら、やはりデフォルトのグリップは交換必須だ。
同じく初期装備のダホン純正折りたたみペダルも評判が悪いが、いきなり足を痛めるほどの不良品ではない。
ペダルよりはグリップの方が価格も安くて交換も楽。まずはハンドルまわりの改良を優先したい。
そのまま折りたためるバーの位置
イオンバイクのバーエンドバーをいろいろな位置に取り付けて、使い勝手を比べてみた。
ブレーキレバーの内側/外側を試して、最終的にはハンドル両端に少し上向きで装着する方法に落ち着いた。「握りやすさ」だけでなく「折りたたみやすさ」まで考えると、正直この位置しかありえなかった。
ダホンK3のフォールディング機構を考えると、ハンドルまわりの改造はリスクが大きい。ブレーキレバーやシフターを初期位置からずらすと、たいていどこかに当たってしまう。
またブレーキの内側にバーをセットすると、折りたたんだときにスタンドかチェーンステーと干渉してしまう。ホイールやタイヤと接触するのを避けるなら、バーエンドは文字どおりハンドル端部に取り付けるのが正解だ。
遠出するときだけバーを着脱する
バーエンドバーが活躍するのは、どちらかというと普段使いより非日常のツーリング。
棒付きちくわや「きりたんぽ」のように、グリップ端部にパイプの余白を設けておくのも一案だ。山に行って本格的に走るときだけ、そこにバーエンドをアタッチすればいいともいえる。
そもそもK3は短時間の街乗りがメインで、本格的なロングライドやヒルクライムという用途は想定されていない。乗車姿勢を少し楽にするために長めのバーエンドバーを付けるのは大げさなのかもしれない。
ブルホーンかエルゴグリップか
エルゴ形状のグリップでなく、ハンドルごとブルホーンに交換する手もある。
ブルホーンにすると、ブレーキレバーも専用のものに換えた方が見た目がスマートだ。すると今度はVブレーキとの互換性という問題が出てくる。
そしてブルホーン用のエアロブレーキを前提にすると、K3に付いているVブレーキをコンパクトタイプに換える必要がある。
しかしこれからビッグアップルの太いタイヤに交換する可能性を考えれば、タイヤとブレーキのクリアランスは確保しておきたい。ハンドルを交換することによって、連鎖的に他のパーツで不具合が出るおそれがある。
グリップ交換の方がリスクは小さい
現状でK3のハンドルまわりを手軽に快適化する方法は、バーエンド付きのエルゴグリップを装着することだ。
改造にかかる費用と手間、折りたたみできるかという懸念を考えると、デフォルトのフラットバーから換えるのはハードルが高い。
125ミリの長さがあるイオンバイクのバーでも折りたたみできたので、エルゴンの型番ならGP/GS3くらいまででは対応できるはずだ。
※だいぶ迷ってバーエンド短めのGP2を購入しました。レビューはこちらです。