小径車のDAHON K3にバーエンドバーを取り付けて、ポジションの違いを比べてみた。
ブレーキレバーの内側/外側、エアロバーやブルホーンハンドルを想定したシミュレーション…いろいろ試したところ、結局ハンドルの端に装着するのが無難だとわかった。
1. ブレーキの内側にバーエンド
まず試したのはブレーキの内側にバーエンドをはめる方法。
ブレーキレバーを動かす必要はないが、構造上はいったん外してから差し直す必要がある。バーの間隔(幅)は心々で24センチになった。
このポジションはTTバイクのエアロバーを意識したもの。
別のロードバイクに付けているDEDAのカーボンブラストは、心々9センチのコンパクトサイズ。幅24センチのバーエンドだと、これよりリラックスした乗車姿勢になる。
不安定すぎて実用不可
しかしK3はロードに直進安定性で劣るせいか、カーボンブラストより幅は広いのにまったく安定しない。たとえ車の来ないサイクリングロードであっても、バーエンドを握ったままエアロポジションで漕ぎ続けるのは厳しいと思った。
不安に感じるのは、安いクリップオンバーと同じで手首を置くパッドがないせいかもしれない。そのため本格的なパッド付きエアロバーのように、腕を預けて上半身を休められる効果もない。
バーエンドを握っている間は当然ながらブレーキをかけられない。そしてK3は手放し運転が難しいので、通常グリップへの握り替えに時間がかかる。実際には片手ずつ動かして、安全確保しながら持ち替えることになる。
ブレーキの外側にバーを付けるより手の移動距離は短くなると思ったが、かえって不便だった。
ダホンK3に対してバーエンドのブレーキ内側取り付けはおすすめできない。
2. ブレーキの外側にバーエンド
次はブレーキとシフターをギリギリまで内側に寄せ、その外側にバーエンドを装着してみた。
右側のシフターから出ているケーブルがポストに接触して、ハンドル中央部の直径も大きくなるため内寄せはこれが限界。長すぎるフラットバーの外側は余らせている。
このポジションはブルホーンハンドルに交換した場合をシミュレーションしたもの。ハンドルの余った部分をカットすれば、見た目はブルホーン並みにスリムになる。
バーエンドの幅は38センチ。あえてこの狭い間隔にセットしたのは、購入検討している日東のブルホーンバーに合わせたためだ。
K3のステムクリップと互換性がある25.4ミリ径のブルホーンバーのうち、NITTOのB263AAもしくはB263AAブラックカラー最大幅は38センチ。シルバーなら40センチ幅もある。
もう一台のロードバイクに付けているドロップハンドルも同じくらいの幅なので、体が慣れている。
上記型番のブルホーンバーはリーチが短いため、フラット部分にブレーキバーを付けるのが一般的。
ハンドルの直径が同じなら既存のレバー類を流用できる。最小限の手間とコストでブルホーンに換装することが可能だ。
ブルホーン+フラットバーブレーキ案
幅38センチのバーの内側にブレーキをセットすると、思った以上に窮屈な感じになる。
ブレーキレバーに指をかけてフラット部分を握ると、幅が足りず小指がはみ出してしまう。そしてバーエンド内側でグリップを握ると、先ほどのブレーキ内側セッティングと同じで体勢が不安定になってしまう。
バーエンドバーからブレーキに握り替える際も、手元が狭いため一苦労。ピスト系バイクで極端に幅の狭いハンドルを付けている人は、一体どうやってブレーキを制御しているのか不思議に思う。
親指ブレーキのジレンマ
小技として、ブルホーン部分を握ったまま親指でブレーキレバーを制御することもできる。
しかし親指でコントロールするためには、バーとレバーを同一平面状にセットする必要がある。すると各パーツの間隔が狭くなり、グリップから手をスムーズに抜き差しできなくなる。
一方でバーエンドの角度を上向きにセットすれば、隙間が広がって持ち替えしやすい。だが今度はバーエンドからレバーに親指が届かなくなるというジレンマに陥る。
実用性を考えるとブルホーンもどきのポジションも難しいと感じた。ブルホーン化するならブレーキレバーはドロップハンドルと同じように、車体前方・先端部分に取り付けた方が安全だ。
3. ハンドルの外側にバーエンド
3つ目に試したのは、素直に既存ハンドルの両端にバーエンドを付ける方法。
バーエンド取り付け幅の分だけ、ブレーキレバーを少し内側に寄せている。見た目はK3の初期状態と大して変わらない。
幅54センチも離れたバーエンド部分を両手で握ると、今まで体験したことのないような姿勢になる。
まるで普通乗用車から大型トラックに乗り換えたような感覚だ。ハンドルが大きすぎて、思い切り胸を開くイメージになる。最初は不自然かと思ったが、慣れるとこれも悪くない。
胸が開いて呼吸しやすい
エアロバーで肩を狭めるのとは逆で、前方投影面積は確実に増えるはずだ。
しかしダホンK3で高速走行するような場面はほとんどない。肩幅が広がって空気抵抗が増えるデメリットは微々たるもの。むしろ思い切り胸を開ける分、呼吸が楽になる気がした。
さすがに市販のブルホーンハンドルで幅50センチ以上のものは見たことがない。長大フラットハンドルに大型バーエンドバーを付けたスタイルは見た目が大げさだが、バイオメカニクス的には案外合理的なのかもしれない。
ブレーキレバーとバーエンドの間には十分なクリアランスが保たれている。そのため他のセッティングのように、ブレーキの握り替えで時間がかかるデメリットは少なかった。
バーエンドを持った状態からブレーキをかけるには、いったんフラット部分に手の平を載せて、そこを支点に回転させるとスムーズだ。この方法なら手放し運転になる瞬間がないので、K3でも安心してグリップを持ち替えできる。
今回試した中ではこれがベストなセッティングだった。
唯一の問題点は、両端に突き出たバーエンドが服やカバンなどに引っかかりやすいことだ。通行人や障害物にうっかりバーを突き刺してしまわないよう、運転も慎重になる。