昨日の大山登山に引き続き、今度はレンタサイクルで鳥取大山を一周してみた。
皆生を起点に、現地で開催される「ツール・ド・大山」のコースに沿って周遊。一部坂のきつい区間はスキップして、最短で環状道路を走破した。
大会のウェブサイトでは「超ハード・上級者向け」と警告されている山岳コース。高低差500mくらいのアップダウンを繰り返す感じで、富士山一周よりもずっときつかった。
皆生温泉でクロスバイクをレンタル
鳥取大山サイクリング向けに自転車をレンタルしている「コグステーション」のウェブサイトで、前日にクロスバイクを予約した。
レンタサイクルは10時間コースで2,000円、皆生温泉の高級旅館内で受け渡しされる。今回は空いていたバイクの中から、一番速そうなジャイアントのエスケープRXを選ばせてもらった。
ESCAPE RXは、街中でよく見るESCAPEシリーズの上位機種。フレームはアルミ製だが通常のエスケープより軽量化が施されている。手持ちのカーボンロードと比べても、重さはたいして変わらないくらいに感じた。
アルミフレーム特有のシャキッとした乗り心地が気持ちよい。ペダルを回すと力のロスがなくダイレクトに前に進む。エントリークラスのエスケープより、コンポーネントが改良されているせいもあるだろう。
皆生温泉~大山登山口
皆生では温泉と同時に海水浴も楽しめる。もとは江戸~大正時代の砂鉄採集で流れ出た土砂が堆積して形成された砂浜。侵蝕対策のため設置された離岸堤のトンボロ現象により、海岸は独特なかたちになっている。
大山は今日も雲がかかっていて、皆生から山頂を見ることはできない。路面にSEA TO SUMMITのルートとして、大山までの道案内が貼りつけてあった。
道なりに進み、国道431号沿いにあったイオン日吉津店で補給食調達。大山に向かう途中はお店も少ないので、2リットルのスポーツドリンクを背負って走ることにした。イオンPBで税込98円の格安品だが、薄めの味付けがちょうどよい。
昨日往復した国道24号に入ると、ゆるやかな坂がはじまる。まだ序盤でスタミナも十分あり、早いペースで上れた。
「大山フィールドアスレチック森の国」に立ち寄り、白バラ牛乳が使われたラムネ味のソフトクリームで栄養補給。大山周辺では、いたるところでソフトクリームが売られている。
皆生トライアスロンのコースでは、森の国の先にある交差点で右折する。実はそこから先の傾斜がきつく、一部は12%の斜度もある。勾配は平均的に10%くらいで、1km進むと100m上昇する感じになる。周辺の気温は30度で路上は木陰も少ない。
標高300mから700mまで一気に上り、大山寺参道に到着。ここから先は「ツール・ド・大山」のコースに沿って進む計画だ。
枡水高原~鍵掛峠
大山寺から南下すると、ブナ林の中に入っていくらか涼しくなった。アップダウンを繰り返して草原が広がる枡水高原に到着。ここでようやく雲が晴れて、大山の山頂を眺められた。
ツール・ド・大山では、ここから高度300mまで一気に下り、また1,000m近くまで上り返すという過酷なコース設定になっている。今回は大山一周を目標に、最短ルートで進むことにした。
一ノ沢~二ノ沢~三ノ沢と、3つの枯れ沢を横断していく。周遊道路とはいえ標高は一定でなく、じわじわ坂を上って標高800~900mの案内板を通過。910mまで上ったところで鍵掛峠に到着。ここから眺める大山は岩肌が多くごつごつして見える。
鏡ヶ成キャンプ場~地蔵峠
鍵掛峠から300mぐらい下ってまた上り返し、鏡ヶ成のキャンプ場・スキー場のあたりで標高1,000mに達する。
大山環状道路は思った以上に勾配が厳しい。路面はきれいだが木陰も少なく、汗をかいて体内の水分を消費する。行きがけに買った2リットルのスポーツドリンクがみるみる減っていった。
主要な交差点にはツール・ド・大山の道案内が出ている。しかし連休中の晴れ間にも関わらず、自転車に乗っている人とはほとんどすれ違わない。確かに日常的な練習コースとしては坂がきつすぎる。ウェブサイトに書かれていた「超ハード」というのは本当だった。
ソールが柔らかいスニーカーを履いてきたので、クリート付きの専用シューズに比べるとペダルを踏みにくい。ジャイアントのクロスバイクは快調だが、固いアルミフレームのせいか、疲れもたまってきている気がする。
さすがに上り坂で何度か足を着きながら倉吉市を通過。ここから地蔵峠を越えてると、琴浦町まで長いダウンヒルになる。
下りになった途端に霧が出て、ぐっと気温が下がった。「上りは暑く、下りは寒い」というヒルクライムによくあるパターン。大山周辺は天候の変化が激しいようだ。
船上山~大山寺
ツール・ド・大山の公式ルートから少し外れるが、県道34号の途中にあるT字路を左折して最短経路を取った。大山の北側は、林道のような幅の狭い道路だが、路面状態はさほど悪くない。車の交通量も減るので、自転車で走りやすい。
ダムを超えると、船上山の巨大な断崖が見えてきた。
船上山を過ぎた先には牧草地が広がる。若干きつい登坂が連続して休憩したいと思ったところ、到達したのはその名も「一息坂峠」。
スポーツドリンクも2リットル飲み続けるとさすがに飽きてきた。他の飲み物も混ぜて買ってきた方がよかったと後悔する。
峠を下って「やまもとファーム」前の交差点を通過。レースではここを右折して下り、また上り返すというタフなコース設定になっている。
そのまま環状道路を進むと、鬼のような直前坂が見えてきた。ギアはインナーローべったりで、標高表示も500m、600mとじわじわ上がり800mまで到達。ツール・ド・大山ではこのきつい坂を迂回するため、先ほどの交差点で右折したのかもしれない。
「だいせんホワイトリゾート」のスキー場を過ぎると、また霧が出てきた。ここからは下りで、先ほど稼いだ高度を一気に消化する。ほどなくして大山寺の登山口に到着し、無事一周することができた。
植田正治写真美術館に寄り道
帰路は米子・皆生までの長い下り坂。日暮れまでは時間があったので、24号線から少し南に遠回りしてみた。目的地は植田正治写真美術館という現代建築。
15年振りの再訪だが、当時とまったく変わらず外観がきれいに維持されている。すでに閉館時間を過ぎているので、外側から眺めるだけ。
植田正治は鳥取砂丘をモチーフにした作品で有名な写真家。展示品もユニークだが、この建築自体も彫刻作品のようで見ごたえがある。
大山一周は観光的にもおすすめ
その後、県道159号~国道9号を経由して出発地点の皆生温泉に到着。自転車は10時間コースのまま延長料金なしで返却できた。皆生温泉から米子の宿までは3km程度なので、行きと同じく歩いて戻った。
皆生を起点とした大山一周は距離にして100km強。高低差は大きいが、普段からロードバイクに乗っている人なら1日で回れないこともない。クロスバイクのレンタサイクルでも、まったく問題なかった。
大山は見る方向によってさまざまな景観を楽しめる。高原ではおいしいソフトクリームも食べられて、観光的にもおすすめのサイクリングコースといえる。