自転車用のサングラスは紫外線カットのクリアレンズで十分かも

9年前に買ったオークリーの高級サングラス、Flack Jacketがだいぶ劣化してきた。

レンズと視界の歪みが激しいので、最近は代わりにJINSのPCメガネをかけてツーリングに出ている。

オークリーのFlack Jacketをクリアレンズに交換した経験からすると、自転車用のサングラスは透明レンズが最適でないかと思う。天候やシチュエーションを問わないで使えるうえ、紫外線カットの基本性能も確保されているからだ。

ロードバイクの必須装備、サングラスの最適化と代替案について考えてみたい。

オークリーは頑丈だった

現在メインで使っているのは、オークリーのフラックジャケットというサングラス。

オークリーのフラックジャケット

定価2万以上する高級品だが、通販の並行輸入品なら1万円ちょっとで買えた。アジアフィットのモデルで、装着感も問題ない。

長年レースや練習で使いまわして、何度も地面に落としたのでレンズは傷だらけ。飛蚊症のように、視界には常にほこりが浮いて見えるような状態だ。

トライアスロン・スイム後の着替え中に、うっかり足で踏んでしまったこともある。レンズが弾け飛んでさすがに壊れたかと思ったが、フレームの柔軟性・復元性が高いのか無傷で驚かされた。

レンズの歪みは致命的

ノーズパッドが取れて紛失しやすいため、イヤーソックと合わせてオプション品を購入した。

さらにサードパーティー製のクリアレンズを用意して、夜間走行や曇りの日はレンズだけ交換するようにした。

長年酷使してレンズ着脱も繰り返したせいか、グラスをかけるとやけに視界が歪んで見える。自転車に乗ると地面が遠く、自分の背が高くなったように感じてしまう。

慣れれば支障はないので数年そのまま使い続けてきたが、久々に着けると耐えきれないほど不快に感じた。このまま無理すると目が悪くなってしまいそうだ。

レンズの傷は何とか耐えられるが、目の前が歪んで見えるのは気分が悪い。経年変化によるものなのか原因は不明だが、そろそろ替え時ではないかと思う。

旧製品は交換パーツがもうない

オークリーを使い続けて9年、レンズの傷や歪みを考えると、もうとっくに寿命を迎えているのだろう。

オークリーのレンズは高級なうえに、公式ストアではもう古いFlack Jacket用の交換パーツが販売されていない。

オークリーサングラスのオプションパーツ

ZEROやLenzFlipといったメーカーの代替品なら、まだ手持ちのモデルに対応している。しかし歪みの原因がフレーム自体の変形だった場合は、レンズだけ替えても無駄金になってしまう。

フラックジャケットは丈夫で長持ちしたが、維持費やパーツ交換が高くつく。次は偏光や調光機能のついた特殊レンズも試してみたいが、やはり数万円の出費になってしまう。

万が一相性が悪かった場合を考えると、2本目もOakleyを選んで失敗するのは避けたい。そこでとりあえずZEROの格安クリアレンズだけ買って交換を試してみた。

クリアレンズもで紫外線カット

サードパーティー製の代替レンズも、Flack Jacketには特に問題なくフィットした。

見た目は透明で可視光透過率は高くても、紫外線だけは99%カットするとうたわれている。そのせいか、日光を通してみるとレンズの影の色が黄色っぽく見える。

オークリーのレンズ交換

波長450nmあたりのブルーライトは除去されているのだろう。日焼けの原因となるそれ以下の紫外線、280~380nmのUV-A/Bまでカットできているかは肉眼でわからない。

たまに日差しがまぶしいのさえ我慢すれば、普通のサングラスと同じくらい紫外線を取り除けるクリアレンズ。

実際の使用シーンで朝日や夕日に向かって走る機会というのは少ない。日中の練習・レースなら、たいていのシチュエーションはクリアで間に合う気がする。

レンズ交換は可能だが面倒

フレームからレンズを着脱する作業は神経を使う。わりと強い力でフレームをひねる必要があるため、うっかり本体を壊してしまわないか慎重になる。

作業中、何度かレンズを落としてしまったので傷も増えた。サングラスのレンズ交換というのは、意外と面倒くさいものだ。

オークリー用に買ったクリアレンズも、ツーリングの最中に着脱するのが面倒に感じてきた。そのため日差しがたいして強くない日は、最初から最後までクリアレンズで通すことが増えた。

夜間・トンネル内や薄暗い峠道でもそのまま使えるので、透明なサングラスは使い勝手がよい。少しでも荷物を減らしたいロングライドで、替えのレンズや眼鏡を持たなくていいのはありがたい。

視界がクリアで安全性アップ

また自分の場合スモークグラスで目の前が暗くなると、なぜか眠くなってしまう問題がある。

水泳用のゴーグルも透過率の高いクリアタイプが好み。サングラスで有害な日射をさえぎることはできるが、代わりに視界が暗くなってまわりが見にくくなる。

外界の明るさは刻々と変わるので、調光レンズでなければ最適なレンズ濃度を維持するのが難しい。日光がまぶしくて目がくらむリスクと、サングラスが暗すぎて前方が見えにくくなるデメリットは同じくらいでないかと思う。

透過率の低すぎるレンズは、使えるシチュエーションが限られる。夜間走行も辞さないロングライドならクリアレンズ一択だ。

他人とアイコンタクトできる利点

透明サングラスが持つもうひとつの利点は、まわりの人とアイコンタクトできる点。

自転車に乗っていても、対向車や歩行者、車のドライバーと目を合わせてコミュニケーションするのは意外と大事な気がする。スモークタイプやミラー仕様だと相手の表情が読めないうえ、なんだか不愛想な印象を与えてしまう。

トライアスロンのレース中でも、エイドで補給を受ける際はアイコンタクトが重要。沿道で応援してくれる人たちにも、なるべく笑顔で応えたい。

そう考えるとレース中のスモーク・ミラーグラス着用はマナーが悪いように思えてしまう。プールで泳いでいてコースを譲り合ったりするときも、相手が黒いサングラスだといまいち意思疎通しにくい。

JINSのPCメガネを転用

その後、家でのパソコン作業用にJINSのPCメガネを購入した。

ブルーライトは25%カットする透明に近い素材だが、やはり紫外線は99.9%も除去してくれる。見た目がウェリントンタイプでファッション性も高いため、街中で伊達メガネとしてかけても違和感がない。

JINSのPCメガネ

近所のサイクリングなら透明レンズに換えたオークリーよりも、ブルーライトカットメガネで間に合わせる機会が増えた。フィット感はスポーツ用の方が上だが、ゴミや羽虫が目に入るのを防ぐ目的なら汎用メガネでも十分だ。

ミニベロで買い物に行く際は、わざわざヘルメットをかぶらないこともある。そういう時はいかついオークリーよりも、見た目が普通のJINSの方がマッチする。

地味に自転車でも使えるJINS

構造が単純なためか、JINSの眼鏡でレンズの歪みは皆無。傷んだフラックジャケットより視界が明瞭なので、自転車に乗っていてもPCメガネの方が快適に感じる。

PCメガネの反射光は青い

ロードバイクはランニングに比べると振動も少ないため、メガネがずれたり落ちたりする心配は少ない。レンズのまわりがすべて樹脂フレームで覆われているおかげか、うっかり落としてもレンズが傷つきにくいように感じる。

PCメガネがあまりに便利なので、紫外線避けに外出時はたいていかけるようになった。これに慣れるとオークリーはもう必要性を感じなくなる。

一眼・調光レンズのサングラス

当面はPCメガネで間に合いそうだが、さすがにレースに出るとなると専用品を身に着けたい。

限界まで加速したり路面の凹凸で激しく振動する状況を考えると、少しきつめなフレームの方が安心感を得られる。

最初に買ったオークリーのフラックジャケットは普通のメガネと同じ二眼型。自転車以外にランニングや車の運転で使いまわすことも考え、汎用性の高そうなタイプを選んだ。

オークリーのフラックジャケット

おかげでトライアスロンのレースではこれ一本でバイクもランも間に合った。街中でかけていても、二眼タイプならオークリーでもそこまで違和感はない。

次にスポーツ用のサングラスを選ぶとしたら、レンズは明るさによって濃度の変わる調光タイプ。レンズは左右一体型のものを選んでみたい。

手持ちのサングラスからパラメーターを大きく変えて、使い勝手がどう変わるか興味がある。

シングルレンズの合理性

両目のレンズがつながっていると、スキーのゴールのようで見た目のアスリート感が強くなる。しかし「視界の障害物を減らす」という面ではシングルレンズの方が合理的だ。

鼻の上にフレームの仕切りがないため、目の前の影になる領域を減らせる。また若干エアロ形状に近づくため空気抵抗も減らせる。

さらにレンズ上部のフレームを省いたデザインだと、視界の広さは最大になる。トライアスロンでエアロポジションのまま前方確認したり、高い位置にある信号・標識を確認したりする際に便利だ。

GIANTのサングラス比較

GIANTのいくつかのサングラスを試着させてもらった。

フレームレスのAPUSをかけると、まるで競泳用のゴーグルからオープンスイム用のアクアスフィアに交換したくらい解放感があった。今までかけていたOakley Flack Jacketに比べて、明らかに視野が広くなる。

もうひとつレンズの上部のみフレームのあるSTRATOS LITEをかけてみると、こちらは見た目どおりに剛性が高い印象を受けた。フレームが一周している分、頭部の締め付けも強くなる。

トライアスロンならフレームレス

レース用の安定性やフィット感を求めるならSTRATOS LITE。ストレスフリーなかけ心地で視野の最大化を目指すならAPUSという判断基準だ。

どちらもシングルレンズだが、フレームの有無だけで大きな違いが出てくる。特に前傾姿勢を維持するトライアスロンのバイクパートでは、視野の上方にフレームがないAPUSの方が向いていると感じた。

GIANTのサングラスは専業メーカーに比べて目立たない存在だが、地味にコスパは高い。APUSもSTRATOS LITEも、ポリカーボネイトより性能の高いNXT VARIA調光レンズ仕様で定価12,000円。

OakleyやRudy Projectなど海外有名ブランドの同等品に比べると、半額近くで買える。

OGKの調光サングラスが安い

一眼タイプで調光レンズの廉価サングラスを挙げるとしたら、もうひとつは定番のOGK Kabuto。

121シリーズがフレームレス、101シリーズが上部のみのハーフリムで、どちらも型番にPHがつくと調光仕様になる。

121には調光レンズとしてはめずらしくカラーバリエーションが豊富。そして撥水コーテッドクリアというミラー塗装が施されているため、調光レンズが苦手な高温環境でも遮光性を確保できると説明されている。

二眼型のビナートなら実売1万以下

この特殊コーティングがあるため、フレームレスの121PHの方が101PHより若干値段は高くなる。

もうひとつ二眼型のタイプでよければBinato(ビナート)の調光レンズがお値打ちだ。通販の実売価格はなんと1万円を切る。

シマノやSWANSなど定評のあるメーカーの調光サングラスとしては、最も安い部類でないかと思う。GIANTのアイウェア製品は正規ルートで通販されていないため、ショップで買うほかない。

ネットには得体の知れないブランドで1,000~2,000円台の格安品も売られているが、さすがに手を出すのはこわい。レンズの精度が悪く、使っているうちに目が悪くなったりするのが不安だ。

実はエアロシールドが最強説

視野の広さとフレームレスの解放感を追求すると、実はエアロヘルメットに付属のシールドがベストでないかと気がついた。

OGKエアロヘルメット付属シールド。普段使いの利点を見直す
約1年ぶりにロードバイクに乗り始めて、最初に気づいたのはサングラスの違和感。経年変化でフレームやレンズが変形したせいか、...

以前買ったOGKのヘルメット、AERO-R1に付いてきたAR-3というスモークタイプのバイザーがある。

ためしに練習でかぶって走ってみたら感触は上々。二眼型より圧倒的に視界が広く、顔に触れないのでメガネの存在自体が気にならない。

着脱しにくく汗を拭きにくいというデメリットもあるが、冬場の平地走行ではさほど気にならない。しばらくはサングラスの代りにシールドを付けてみて、買い替えの参考にしたいと思う。