膝のリハビリ中にも使えるリカンベント型エアロバイクと懸垂器具

膝の治療中のトレーニング手段として、エアロバイクと懸垂マシンを紹介したい。リカンベント型は全身にかかる負荷が弱めなので、退院後の有酸素運動には適している。脚を痛めて松葉杖をついていたとしても、上半身が問題なければ懸垂はこなせる。

両者を組み合わせれば、膝に負担をかけずにバランスよくワークアウトできる。予算と設置スペースについては要検討だが、この2つは家に置いてもメリットが大きいと思った。自重筋トレを中心としながら、補完的なエクササイズを実現できる。

エアロバイクは2種類使い分ける

膝に負担のかかるジョギング・ランニングは、かなりリハビリが進んだ後(術後3か月~)から許可が出る。それまでの間、松葉杖や装具が取れれば散歩やウォーキングは可能だが、実際には歩くだけでも膝に体重は乗る。

「ウォーキングより膝にやさしい」とリハビリの先生からおすすめされたのがエアロバイクだ。膝の動きは大きいように見えるが、体重をかけない分、運動としてはマイルドらしい。

大きめのジムに行けば、通常のロード型とリカンベント型の2種類、エアロバイクが設置されている。後者は背もたれ付きなのでリラックスしたポジションで座ることができ、体への負担が少ない。しかし抵抗を上げてワット数を増やせば、かなりハードなエクササイズにもなる。

ダイコーDK-8718RP

乗り比べてみると、リカンベントで鍛えられる筋肉の部位は、自転車よりレッグプレスに近いと感じる。寝そべって脚を伸ばす体勢がそっくりで、低負荷のレッグプレスを連続して行っているイメージになる。そのせいか、大腿四頭筋だけでなくハムストリングから臀部まで広い範囲を刺激できるように思う。

ジムではウォーミングアップにリカンベント型に使って、長時間の有酸素運動としてはロード型に乗るよう使い分けていた。また、体調に応じて負荷を下げたいときはリカンベントの時間を増やす。2種類のエアロバイクに乗ると、バランスよくトレーニングできそうな気がした。

ダイコーDK-8718RPレビュー

最近借りて使っているエアロバイクは、DAIKOU DK-8718RPという型番。家庭用としてはめずらしいリカンベント型だ。

簡易的なものかと思いきや、意外と負荷が高めでペダルは相当重くできる。リハビリ中は、ほとんど最低値の1しか使わない。2・3・4…あたりの低負荷領域で、一気に抵抗がアップするという謎のスパルタン仕様になっている。

16段階ある負荷設定を10以上に上げると、相当体幹に力を込めて押し下げなければペダルを回せない。実質的にはほとんど無酸素運動で、まさにレッグプレスをしているような状態になる。

手術前の追い込みで1時間も漕いでいたら、リカンベントなのに415kcalも消費できた。年齢も体重もインプットしていないため適当な計算だと思うが、リラックスした姿勢からは想像もつかないほどハードで汗だくになる。

ダイコーDK-8718RPのディスプレイ

液晶画面には、特に意味のないレトロゲームのようなグラフィックが表示されている。基本の数値情報以外は不要なので、代わりにスマホを置ける台でも取り付けてほしかった。

ダイコーDK-8718RPのディスプレイ

ディスプレイまわりに強めの両面テープで突起・棚のようなものを後付けすれば、スマホやタブレットを置いて動画観賞できるだろう。後述のように低負荷なら両手を開けられるので、ながらで趣味の活動に打ち込める。

蒸れ防止にエアリークッション

椅子の背中がメッシュ製で蒸れにくいのは、DK-8718RPの大きな売りだ。しかし座面はそこそこ固い素材なので、30分くらい乗っているとお尻が痛くなってくる。通常タイプのエアロバイクに比べて、ペダルに載る体重が少ないので、その分お尻が圧迫されるのだと思う。その意味では、膝への負荷が軽い証拠ともいえる。

エアロバイクの背もたれ部分

お尻の痛みを解消するには、適当なクッションを挟めばいいと思う。自分はアイリスオーヤマのエアリークッションを持参して下に敷いている。内部がチューブ状の繊維で通気性抜群なため、エクササイズ用の座布団としても優れている。

高反発のシートを敷いて快適化したうえ、低負荷で足を回せばほとんど心拍数も上がらずマイルドなリハビリができる。設定荷重が弱ければ、両脇のハンドルから手を離してもペダルを回せる。少しだけ腹筋に力を入れて体勢を維持するかたちになるが、ハンズフリーで運動できるのは大きなメリットだ。

空いた両手でスマホをいじったり、読書しながら延々と自転車を漕げる。ロードバイク用の本格的なローラー台とは対極にある装置で、もっぱら「ながら利用」に向いている。価格も7万程度なので、家が広ければ常設したいくらいだ。

本気でトレーニングしたいなら、外で自転車に乗ればよい。リハビリや低負荷の有酸素運動、また雨の日や冬季のコンディション維持には、リカンベント型が向いている気がする。ロードのポジションとは異なる筋肉を刺激できるメリットもある。

アルインコの懸垂マシンレビュー

膝の治療中にもうひとつ活用しているのが、ALINCO(アルインコ)の懸垂マシンだ。よくある自立式の懸垂装置で、こちらも1万円程度で手に入る。機能的にはどのメーカーのものでも大差ないだろう。

退院してまだ松葉杖をついている期間でも、棒にぶら下がるくらいは難なくできる。上部のバーの幅が長く、端部は少し下に反っているので、懸垂だけでもさまざまなトレーニングに対応できる。

自分の場合は、順手で手をくっつけた状態、肩幅、器具の最大幅まで広げた状態、さらに逆手で体を持ち上げる4種類の懸垂をローテーションしている。もちろん単純にぶら下がって体を揺らすだけでも、全身のストレッチができて気持ちよい。

懸垂バー

半額程度の価格で「ぶら下がり健康器」も手に入るが、懸垂運動を取り入れるならアルインコくらい重量のあるマシンの方が安全だ。アルインコでもちょっと勢いをつけて懸垂すると、器具が少し揺れることがある。軽い健康器だと動いたり倒れたりして危ないだろう。

自宅に懸垂台を置くのはあり

懸垂は効果的な自重筋トレのひとつだが、なかなか近くにぶら下がれる棒がなかったりする。外の公園に鉄棒はあったりするが、大人が足を伸ばしてぶら下がれる懸垂専用遊具はめったに見ない。

近所のジムで懸垂できるのは、フリーウエイトのラックだけ。そちらは利用者で順番待ちになることが多く、屈強な人たちに混ざって懸垂だけ利用するのは気が引ける。結局自宅でできる肩まわりの筋トレとしては、腕立て伏せのバリエーションか、セラチューブを使った低負荷のエクササイズになってしまう。

そういう事情を考えると、自宅に懸垂マシンを導入するのは案外ありな気もする。たいして場所も取らず、簡易的な物干しとしても利用できる(自宅保管のロードバイクも、ドロップハンドルは洗濯物干しに使える)。

懸垂台

ドアの枠に引っ掛けたり突っ張らせたり、木の柱にネジ止めするタイプの懸垂バーもある。ただし設置の手間や強度上の不安を考えると、やはり自立型の方が安心感を持てる。価格はそう変わらないので、あとは懸垂マシンを置けるスペースがあるかどうかという問題になる。

普段から運動していると、入院~治療中は体を動かせないことでストレスがたまる。毎日なにかしら汗をかいてデトックスしていたので、毛穴に老廃物も溜まっている気がする。気晴らしとコンディション維持を兼ねて、患部に負担をかけずにトレーニングする方法を追求してみたい。