1泊2日で国道299号を茅野まで往復する週末ロングライド。2日目の帰り道は、十石峠の南を並走する県道124号、ぶどう峠に上ってみた。
299号を長野から東京へ向かうルートは、下り基調で途中の峠も徐々に標高が低くなる。昨日の疲労が抜けきらない2日目としては、リラックスして走ることができた。
蓼科高原~麦草峠
前日に宿泊した蓼科クライネユースホステルは、国道299号(メルヘン街道)から少し路地を入った先の静かな場所にある。裏手を小川が流れ、料理は手作りのジャムや燻製など。廉価ながら、リゾートに来た気分を味わえた。
朝8時にスタートして麦草峠を上り始める。蓼科高原からの標高差は1,000m程度で、佐久穂町側から上るよりは負担が少ない。早朝の脚がフレッシュなうちに最難関の峠に挑めるので、埼玉~群馬県からアプローチするよりは気が楽だ。
メルヘン街道の茅野市側は、森の中にホテルや別荘、隠れ家的なレストランが散在している。勾配も8%以下とゆるやかで、景色を楽しみながらヒルクライムできる観光的なコース。ある程度上ると、茅野側の山並みを見通せるようになる。
今日も朝から快晴で、標高を上げると気温は下がるが日差しは逆に強まる。標高2千メートルでも、8月の日中は暑い。
峠のこちら側も100mごとに標高を示す標識が立っている。ゆるい坂をのんびり上り、1時間半くらいかけて麦草峠に到達した。
昨晩と変わって車通りが多く、途中の駐車場はどこも満車。大型バスも上って道だが、途中で転回するのに苦労していた。展望台の駐車場まで戻れば切り返せそうだが、もしかすると蓼科まで下りないとUターンは無理かもしれない。
小海町~ぶどう峠
麦草峠からメルヘン街道を東に下ると、ロードバイクの集団が坂道を駆け上ってきた。佐久穂町から峠までは標高差1,200mもある。ここで練習している人たちはレベルが高そうだ。
峠から少し下ったところにある「レストハウスふるさと」で休憩。ここで国道299号からいったん離れ、昨日と違う県道480号を下ってみることにした。こちらの方が、ぶどう峠のある県道124号の入口には近い。
480号は299号と同じ標高差を短い距離で下るため、勾配はきつくなる。しかも直線が多いので、下りる分には楽だが上りはつらそうだ。たまに振り返ると、八ヶ岳の山並みを見ることができる。
国道141号に合流してコンビニで一休みする。しばらく北上して、小海駅付近から県道2号に右折。ここから先、県道124号に合流して北相木(きたあいき)村の坂を上る。
ぶとう峠まであと2.6kmという案内板が出たあたりから、ワインディングの山道に変わった。夏の暑い日は、街中の道路より木陰の多い峠道の方が涼しくてうれしい。
ぶどう峠の標高は1,510mで、昨日上った十石峠よりわずかに高い。もともと標高が高い長野側から上ったおかげで、十石峠よりずっと楽に上ることができた。
上野村~志賀坂峠
国道299号と同じく、県道124号も長野側に比べて群馬側の路面は荒れている。ぶどう峠から299号との合流地点まで17kmという案内表示があり、森の中を落石に注意して淡々と下る。
合流直前に不自然な上り坂が見えたので、おかしいと思ってGoogleマップを見ると、分岐点がいくつもある。ためしに手前の坂を上ってみたら、「十石街道 白井宿」という無料の休憩所にたどり着いた。どうやらこの道は間違いだったようだ。
引き返して川沿いの細い道を進むと、ようやく国道299号に入ることができた。あとは昨日走ったルートなので、ペース配分もイメージしやすい。
道の駅「上野」で300円のソフトクリームを食べて休憩。近くにある「川の駅」で売られているソフトクリームは50円安かったが、食べ比べると道の駅の方が生乳を使っているためかこくがあった。さらに50円増しで、名物の「十石味噌入り」というのもある。
志賀坂峠に入る前に「凍結により、通行注意」という表示が出ていた。酷道299号は真夏でも路面が凍るのだろうか。
これまで通過した麦草峠・ぶどう峠に比べて、志賀坂峠はさらに標高が低い。軽く汗をかく程度の運動量で、楽に上ることができた。
道の途中で、ハンマーで石を叩いている家族連れを見かけた。恐竜センターの化石発掘体験は大人気で、ウェブサイトを見ると夏休み中は予約でいっぱいだった。最寄りの高速インターから車で70分の場所でも、恐竜のおかげで意外と賑わっている。
志賀坂峠のトンネルを抜けると、埼玉方向を見下ろすことができた。ここから秩父までは長い下り坂になる。
小鹿野町~秩父
小鹿野町へのダウンヒルは快調に飛ばし、直線区間はエアロポジションで37km/h巡航できた。ただし日の当たる方向が変わらないので、西日にあぶられて右足のふくらはぎがヒリヒリした。
秩父が近くなると、右手に巨大な採石場が見えてきくる。「武甲山」という山で、石灰岩が採れるらしい。
昨日はじっくり眺める余裕がなかったが、299号から旧秩父橋も見ることができた。
秩父駅付近でやけに人が多いと思ったら、アニメ関連のイベントをやっていたようだ。最近このあたりに来ると、街中や道の駅など、いたるところでアニメのポスターを見かける。
山伏峠~青梅
秩父から正丸トンネルまでは299号が上り坂になる。交通量も多く、自転車では走りにくい区間だ。そのままトンネルを通ってもよかったが、余力があったので手前で右折して昨日と同じく山伏峠に向かってみた。
山伏峠に向かう途中で、正丸峠を通って299号に戻ることもできる。ただし山道の方が走るのは楽なので、そのまま名栗湖方面に向かうことにした。これまで上ってきた峠に比べれば、山伏峠の標高は低い。インナーローまでいかず、ギア1枚残して上り切ることができた。
峠から県道53号の分岐までは、ゆるい下りを快適に飛ばせる。成木街道のトンネルまで、飯能側からはちょっとした上り坂になる。
新吹上トンネルを抜け、黒沢二丁目の交差点から登坂車線を上る。あとは青梅から拝島にかけて坂道はない。ところどころ自転車専用レーンがある新奥多摩街道を走っていると、福生駅の近くは七夕祭りで交通規制が行われていた。
国道299号、東京~長野を往復する1泊2日のツーリングはひたすら峠を楽しめた。十石峠~ぶどう峠のエリアは補給個所がないので、余裕をもったスケジュールでないと走破するのは厳しい。
それに比べれば、長野のメルヘン街道は途中にレストハウスもあり、まわりの景色もよく恵まれたコースだった。299号が酷道なのは主に群馬県に入るエリアで、それ以外は車も自転車も普通に走れる道路だった。
東京→長野の往路レポートはこちら。