上大須ダムを目指して自転車ツーリング。ロックフィル式・揚水発電

揖斐川の上流にある徳山ダムは、日本一のロックフィル式ダムとして知られている。その近くにある上大須(かみおおす)ダムも同じロックフィル式で、98mの落差がある。

ダム湖を一周サイクリングできると聞いて、樽見から自転車で往復してみた。

上大須ダムStrava上大須ダムStrava

樽見駅から上大須ダムへ

樽見駅から国道418号を北に向かう。そのまま道なりに進むと、山県市や関市につながる山の中の幹線道路だ。川沿いに進んだ先に、上大須ダムに向かう県道255号との分岐がある。

ここに出ている「通行止」の看板は、国道157号(温見峠)のことを意味している。上大須ダムまでの道は冬季閉鎖されていないようだ。

県道255号の分岐

ダム関連の車両が通るためか、途中の道やトンネルはよく整備されている。施設周辺の道がきれいなのは、徳山ダムと同じ傾向だ。たまたまキャンプ場の先で川底の工事をしている個所があり、土砂を運ぶダンプが行き来していた。

上大須ダムに向かうトンネル” width=”800″ height=”450″ />

樽見鉄道の終点からさらに山奥に入ったところだが、いくつか集落があって人が住んでいる。駅から13kmくらい走ると、根尾のキャンピングパークにたどり着いた。

NEOキャンピングパーク~大鳥居

途中にあるNEOキャンピングパークはかなり広い。オートキャンプ用の駐車場区画だけでなく、立派なコテージも数軒並んでいる。夏休みのシーズンだけでなく、冬も雪上キャンプで大人気らしい。

NEOキャンピングパーク

岐阜や名古屋の人からすると、首都圏なら奥多摩~丹沢に相当する便利な立地といえる。車社会の中京圏なら、ここまで山道を運転してくるのも訳ないことだろう。

キャンプ場を通り過ぎると、巨大なコンクリート製の鳥居が出てきた。橋を渡った先の神社はたいした規模でもなさそうだが、なぜか門構えがえらく立派だ。石碑の由来を読むと1200年の歴史があるらしい。これもダム関連で建てられたものかもしれない。

上大須ダムの大鳥居

鳥居の先には国道157号につながる分岐がある。その先の猫峠を経由して温見峠までショートカットできる。冬季閉鎖が解けたら、ぜひ開拓してみたいルートだ。

猫峠への分岐

上大須ダムが近づくと、坂の勾配がどんどんきつくなってくる。ダムやゴルフ場のまわりに激坂が多いのは、山の中に強引に道路を作っているからだろう。熱海や湯河原の保養地にも似たような傾向がある。

橋を渡った先に目を疑うような斜度の道が見えたが、そちらは通行止めになっていた。あまりに坂がきつすぎて放棄されたのだろうか。

川浦ダムは立入禁止

坂の途中からダムの全容が見えてくる。野面積みに近い粗い石垣が、ゆるい傾斜で続いている。そのためか、土木建造物というより山城のような趣を感じられる。

上大須ダム

坂の途中でダムの管理車両とすれ違い、猿も数匹出てきた。このあたりをツーリングすると毎回、サルかシカを見かける。

途中で東にある川浦(かおれ)ダムに通じる道が見えた。その先は関係者以外立入禁止になっており、一般人は到達できない幻のダムだ。Googleマップで空から見ることしかできず、ストリートビューも対応していない。

上大須ダムと川浦ダムの高低差を生かし、夜間電力で水をくみ上げ、昼間に流して発電する揚水発電が行われている。オフピークの時間帯を生かして発電効率を上げる、うまい仕組みだと思う。

上大須ダムの周遊道路

上大須ダムの上にある道は自転車でそのまま走ることができる。これだけ大きな斜面があれば、ちょっとしたスキー場にもなりそうだ。

上大須ダムの上からの眺め
ダム湖の周遊道路は残念ながら通行止めで、途中までしか走ることができなかった。入口近くに斜面が崩れているところがあり、これが原因でないかと思う。

上大須ダムの崩落個所

樽見駅からの距離は往復35km。ちょっとしたヒルクライムとダム見学を楽しめるコースだった。温見峠や徳山ダム周回のついでに、寄ってみるのもおもしろいと思う。