武蔵五日市駅から高尾山口駅まで約30km。ハセツネに向けて、ライトで道を照らしながら夜中に走る練習をしてみた。
午前中は多摩川CRを50kmほどロードバイクで走ってトレーニング。昼食・仮眠を取って午後の予定を考えたところ、しばらく晴れる日がなさそうなので、思いつきで奥多摩に向かうことにした。
出発は夕方近くになってしまうが、ハセツネに向けて購入したジェントスのヘッドライトを試しておきたい。陣馬山から高尾山に向かう方向なら、下り基調で路面も安定している。高尾山からは京王線~中央線を乗り継いで帰ることができる。
15時に武蔵五日市駅をスタートして、醍醐丸~和田峠経由で陣馬山に到着。そこからライトを点けて高尾山に向かい、22時頃に高尾山駅にたどり着いた。
(参考タイム)
- 15:00 武蔵五日市駅スタート
- 16:15 入山峠
- 17:30 市道山分岐
- 18:15 醍醐丸
- 18:50 陣馬山
- 20:50 高尾山
- 21:45 高尾山口駅ゴール
入山峠付近でイノシシに遭遇
武蔵五日市駅を15時に出発。入山峠までの道はもう慣れたので迷うことはない。途中で脇を通る新多摩変電所は、山の中にある巨大インフラ施設。
今熊神社までの舗装路はウォーミングアップとして軽く走り、今熊山山頂までのきつい登りにそなえる。そこから入山峠までのトレイルもわりと平坦で、断続に走れる部分が多い。
今熊神社のあたりは結構人とすれ違う。「こんな時間からどこに行くのか?」と聞かれたが、確かに日暮れも近く、山奥に向かうにはもう遅い時間帯だ。
今熊山を過ぎてしばらく走ると、茂みでがさごそ動く音が聞こえた。間伐作業でもしているのかと思ったらイノシシが3匹と子供が1匹、斜面を駆け下りていった。奥多摩でイノシシを目撃したのは初めて。けがをしなくてよかった。
入山峠の付近は、夏になると道端の草が伸びて結構走りにくい。靴下と着圧タイツの隙間、くるぶしのあたりが露出していたので、草と擦れて痛かった。
鳥切場~市道山分岐
入山峠でちょうど坂を上ってきたロードバイクの人とすれ違ったが、その後は和田峠まで誰とも会わず。もう夕方近くということもあり、エスケープできるバス停も少ないこのエリアは人けがない。
先日同じルートを走った際、道を間違った分岐を確認できた。「鳥切場を経て市道山・森久保・関場(バス停)」という道標のところで、正面の坂道を避けて左のまき道に逃げたのがまずかったようだ。
坂を上ってピークを過ぎたところに再び道標がある。そのまま直進すると「森久保・関場(バス停)」に向かってしまうことになる。どうやら少し手前で鋭角にUターンする必要があったようだ。鳥切場付近の道は非常にわかりにくい。
何とか市道山に向かう道を見つけて、その先に進む。ここはアップダウンが激しいルートで、下りも急すぎて駆け下りるのが難しい。途中で「日本山岳耐久レース10km地点」の看板を見かけた。全長71kmのハセツネ公式コースの中では、まだ序盤に過ぎない。
途中、木が伐採されて見晴らしがよい区間がある。見渡すかぎり山しかなく、万が一トラブルがあれば入山峠に戻って林道を下りるか、和田峠まで進むしかない。ここはまだ奥多摩の入口あたりだが、エスケープが難しいルートだ。
ハードな上り下りで体力を削られながら市道山の分岐(標高775m)に到着。
以前、ここから右折して市道山~臼杵山経由で檜原村に下りたことがある。左折して醍醐丸に向かうには初めてだ。
醍醐丸~和田峠
市道山から醍醐丸にいたる区間は、『山と高原地』によると「吊尾根」と呼ばれている。険しそうなイメージだが、市道山分岐までの急勾配に比べると平坦で走りやすかった。道幅は広く登山客もいないので、快適にトレイルランニングを楽しめる。
登山道の脇には林道が並走している。やや長い上り返しを経て醍醐丸に到着。標高867mで、ここは八王子市の最高峰でもあるらしい。
醍醐丸から和田峠まで下ると、醍醐林道のダートと舗装路の境目あたりに出られることがわかった。
夏至が近いので18時を過ぎてもまだ明るいが、さすがに和田峠の茶屋は閉まっていた。おそらく陣馬山頂の茶屋も閉まっているので、高尾山まで補給できるポイントはない。
水は700mlほど持ってきたが、すでに半分は消費していた。和田峠のバス停まで下りて自販機で水を買おうかと思ったが、あの激坂を上り下りするのは足にこたえる。結局、高尾山まで走れば2時間もかからなかったので、なんとか水は持ちこたえた。
陣馬山~景信山(夜間走行)
和田峠から陣馬山に向かうと、直登ルートの階段の左に「平坦コース」という案内板が見えた。試しにそちらに進んでみると、しばらくすると藪の中に道が消えてしまった。
どうもおかしいと思ったら、この道は「行き止まり」と書いてあった。
後戻りして車のわだちが残る道を上っていくと、遠回りして陣馬山の山頂に到着した。
やはり18時を過ぎると茶屋は3軒とも閉まっている。休日あれほど賑わう山頂も、夜景の撮影準備をしている人が1名いるだけ。富士見茶屋からは富士山がうっすら見えた。
ここで夜間走行に備えてライトを準備した。GENTOSのヘッドライトAUVA VA-01Dと、自転車から外してきたハンドライト、閃SG-355B。どちらも単4電池で動くため、予備バッテリーを共用できるのが便利だ。
空は明るくても、19時を過ぎると木々に囲まれた登山道は暗くなってきた。
ヘッドライトを150ルーメンのHighモード(中間の明るさ)にセットして、高尾山に向けトレラン開始。思ったとおり道は広く快適で、他に登山客もいないのでスピードを出せる。ただし、ところどころ木の根が張り出しているので、3回くらい足を引っかけて転びそうになった。
19:30を過ぎるとさすがにあたりは暗くなる。今日は曇りで月明りもない。休憩中にライトをすべて消してみると、山の中で真っ暗闇になって一歩も動けなくなる。
ヘッドライトは全開の200ルーメンBoostモードに変更して、さらにハンドライトも点灯した。ライトで道を照らしていると、さまざまな夜行性の生き物を観察することができる。
ヘッドライトにおびき寄せられて、顔に蛾がぶつかってくるのはいただけない。ときには固い昆虫も激突してきてびっくりさせられる。
喉も乾いてきたので、ハイペースで飛ばして景信山に到着。八王子方面の夜景を見ることができた。
各山頂にある茶屋は当然閉まっていて、売店の業務用冷蔵庫も厳重にロックされている。
夜の高尾山
熊避けの鈴を忘れてきてしまったので、ラジオ代わりにスマホで音楽を流しながら走った
夜間のトレイルで怖いのは道を間違えることだ。道標をチェックしながら高尾山に向かっていることを確認するが、ときどき道が細くなって不安になる。途中で人とすれ違うことはなかったが、高尾山付近で一組だけ、同じくライトを点けた登山客のグループを追い越した。
最後の階段を上ってようやく高尾山の展望広場に到着。ありがたいことに山頂の自販機は夜でも動いていて水分を補給できた。500mlのペットボトルが220円したが、背に腹はかえらえない。
ケーブルカーはとうに営業が終わっている。しかし、夜の山頂で何をしているのかわからない人たちが数名いた。大きな虫取り網を持ったグループもいる。
山頂から薬王院~リフト駅までは街灯があったので助かった。
その先の一号路はまた真っ暗になったが、これまで何度も通った道なので土地勘がある。滑らないように慎重に下りて、高尾山口駅に到着した。
京王高尾山温泉「極楽湯」
昨年10/27にオープンした高尾山駅直結の温泉「極楽湯」に寄ってみた。休日の日中は混みそうだが、22時の最終入館前だったせいか、わりと空いていた。
改札から通路をとおってそのまま温泉施設へアプローチできる。1階は食堂と休憩スペース、2階に露天風呂がある。元旦・GWのハイシーズン以外は税込1,000円で、奥多摩の公営温泉より少し高い。
温泉は「つるつる温泉」に近いヌルヌルした触感だった。他にも炭酸泉やマイクロバブルのヒノキ風呂など、疲労回復に効きそうな湯船が充実している。サウナも温度が高めでうれしく、23時の閉店間際までのんびり過ごさせてもらった。
梅雨入り前の最後の晴れ間を生かして、来月7/3に迫ったキタタンの練習ができた。さらに夜間走行も試せてハセツネの予習になった。
夜の登山道はひとりだと怖いが、ライトの装備が十分なら走れないことはない。むしろまわりに人がいないので、黙々とトレランのトレーニングをするには夜走るのもありかもしれない。