驚異的な軽さの虎走ターサージールレビュー。サブ3向け最終兵器

次のマラソン大会にそなえて、初めてアシックスのランニングシューズを買ってみた。

これまではアディダスやリーボック、ニュートンという海外ブランドを好んで履いてきたが、一度は国内の人気モデルも試しておきたい。

マラソンのタイム向上を目指して、選んだのはレース仕様のターサージール4。手持ちのシューズと履き比べると、軽量性とグリップの違いは明らかだった。ほんの少し試走した程度で実戦投入してみたところ、靴擦れなどのトラブルもなく自己ベストを更新できた。

後年振り返ってみても、シューズを新調したことによる効果は大きかったと思う。

型落ちターサージールが1万以下

ディアドラの靴擦れに懲りて、次は定番メーカーのまともなシューズを買おうと思った。ショップを物色していたら、アシックスの少し古いTARTHERZEAL 4(品番TJR282)が1万以下に値下げされていた。

ターサージール4の型番・サイズ

配色はモノトーンで白地に黒いラインが入っている程度。GT-2000のようなクッションモデルに比べると、ターサーはデザインがシンプルで「プロ向け」という感じがする。汚れは目立ちそうだが、決戦に臨む白装束のようなホワイトカラーが潔い。

ターサージール4の外観

店員さんと相談して、サブ4前半からサブ3を目指すレベルならターサージールがちょうどよいと勧められた。adizeroのtakumiシリーズに相当するラインで、上位モデルのソーティは駅伝向けだという。

フルマラソンの終盤は、たいてい足まわりの筋肉が固くなってスピードが落ちる。クッション性より反発性重視の軽量モデルは、足に負担がかかりそうで心配だ。ただしシューズが軽いのは負荷軽減につながるはずなので、実際に試してみないことにはわからない。

マラソン参加3日前というタイミングだったが、思い切って本気のレーシングモデルを試してみようとターサージールを購入した。当時最新の5は定価で1万以上したが、型落ちの4は税込8,720円のセール価格で入手できた。

2019年現在はバージョン6が最新だが、そこまで大きな違いがあるようには見えない。定価だと1.4万もする高級モデルなので、ひとつ古いモデルを買い替えていくのがリーズナブルだと思う。

片足167gで独特のイボイボソール

試し履きしてサイズは27cmがジャストだった。初期装備のインソールのままだと、重量は片足167~168gという驚異の軽量性。

今履いているadizero japanはカスタムインソール込みで230g。片足で60gも違うと手に持っただけで違いがわかる。

ターサージール4の重量

アッパー素材は柔らかめのメッシュなので、サイズを選べば靴擦れする心配はなさそうだ。ヒールの部分は別素材で補強されており、軽量だがホールド感は十分確保されている。

ターサージール4の側面

ソールはアディゼロ匠と同様、前側にイボイボのグリップが集中して植えられている。このパターンがサブ4以上のクッションモデルとは明らかに違う特徴だ。テトラポッド型の突起の中にも微細な凹凸があり、一瞬ですり減りそうだが抜群のグリップ力が期待できる。

ターサージール4のソール

付属の説明書には「サブ3の領域へ…レーシングモデル」と書かれている。確かに軽さといいグリップといい、これまで履いてきたサブ4以上のトレーニングモデルとは明らかに違う。

ターサージール4の説明書

よく見ると、タンの靴紐を通すベルト部分にこっそり漢字で「虎走」と刺繍してある。アシックスはデザインに無頓着かと思いきや、細かいところに変なこだわりがあるようだ。ターサージールは歴代モデルから最新版まで、常に虎走と書かれている。

ターサージール4の虎走

あえて漢字を使うのは海外受けを狙ったのだろうか。日本人からするとヤンキーっぽい時代遅れのセンスに感じてしまう。足元のよく見える部分なので、走りながら「こそう…こそう…」と念じると雑念を追い払ってくれそうだ。

ターサージールで初サブ3

試しに近所を1kmほど走ってみたところ、シューズの軽さは一歩目からすぐに実感できた。ロードバイクだと100g程度の重量差では違いがわからない人間だが、シューズが片足50gも違うと劇的な変化を感じられるようだ。

ソールのイボイボは、地面に触れるとカツカツと乾いた音を立てる。食いつきすぎて離れないということはなく、反発性もいい。意識して強めに蹴っても、変に滑る心配がないので安心だ。

もう少し長く走って足を慣らしておきたかったが、レース直前なので試走はほどほどにしておいた。アシックスのシューズは寸法が日本人向けに最適化されているのか、数日後にぶっつけ本番で挑んだマラソンでも靴擦れすることはなかった。

ターサージールを履いて、念願のサブスリーを達成。新品状態のフレッシュなソールや諸々のプラセボ効果を含めても、その実力は本物だった。

これまで価格やデザイン重視で様々なシューズを試してきたが、サブ4以下の領域でタイム向上を目指すなら、素直にアシックスを買えばよかったのだろう。マラソン大会で多く見かける理由もわかった気がする。