平成30年製図課題、プールはおまけの「eスポーツ施設」という可能性

建築思潮研究所の『建築設計資料』を何冊か試し読みして気づいたのは、「スポーツ施設」というくくりだと大型複合施設の事例が多いということだ。

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25mプールと本格的な体育館は収まらない

課題で問われるのはせいぜい2,000㎡程度の敷地に三層構造。温水プールだけでなくトレーニングルームにレッスン用のスタジオまで、典型的なスポーツクラブの構成要素を詰め込むと、それだけでいっぱいになってしまう。バスケやバレーボールがプレイできる本格用途の体育館までは、25m競泳用プールと同じで出題されないだろう。

もし構成要素が絞られるなら、要求諸室をうまく並べてゾーニングするだけの簡単な問題になってしまう。例年7月に課題が発表されてから10月の本番で予想外の設問が出る傾向からすると、あえて「普通の」スポーツ施設は問われない可能性も十分考えられる。

プール以外は出ない仮説

『建築設計資料』によると、公共のスポーツ施設が郊外に大型で建設される傾向があるのに対し、民間施設は集客のため駅近立地で立体重層化する傾向がある。平成20年は3階以上がビジネスホテル併設だったが、今年も3階平面図が基準階で、実は高層ビルという可能性はないだろうか。

その場合の1~2階も「要求機能は温水プールだけ」というひっかけで、みながこぞって練習するであろう、スタジオやジムが出てこないケースもあり得る。まさに『一級建築士受験 合格者たちの勉強法』で警告されている「イメージ誘導」の罠で、我々が市民体育館やスポーツクラブに期待するステレオタイプな諸機能は出てこないかもしれない。

競技志向という先入観を外す

現に昨年ドリンクコーナー付きのトレーニングルームは出題されたので、今年は高齢者向けのリハビリルーム付きデイケアセンターなど、変化球もありえる。課題名に「健康づくりのための~」とあるとおり、スポーツ施設とは名ばかりでシニアの軽い運動とコミュニティー機能にかたよったゆるい公共建築かもしれない。

さらに「健康増進のためのエクササイズ等を行う温水プール」という説明を素直に受け取れば、50mのインターバルで激しく往復するようなイメージは思い浮かばない。一概にスポーツといっても、教義志向からフィットネス、リラクゼーション、レクリエーション目的の娯楽志向まで、ジャンルは多彩だ。

プール以外の余白を使って、商業施設や貸事務所との複合施設が出題されるおそれもある。それこそ街中の公共施設なら、地域図書館に子育て・介護施設、美術館から「ものつくり」体験、防災学習施設まで、無数の組み合わせを想定できる。

そのあたりは各種のテキストやスクール課題で徐々にバリエーションが出てくると思うので、どんなぶっ飛んだ設問が出てくるか楽しみだ。昨年コンセプトルームという自由提案が解禁された今、プールの用途・サイズすら自由に設定させる課題が出てもおかしくない。

岐阜の日帰り温泉はプール複合型

昨年の課題でも、事前に発表された「リゾート」というイメージに誘導されて、広めの客室ばかり練習してしまった。一般的なイメージから、あえてずらした設定で揺さぶりをかけてくる手口はわかったので、典型的な公共温水プール以外の変わり種も調べておいた方がよさそうだ。

これまで行ったことのある施設で思いあたる事例として、岐阜の揖斐川町にある谷汲温泉を紹介したい。公式サイトに出ている平面図を見ればわかるとおり、いわゆる露天風呂付きの日帰り温泉と見せかけて、エントランスホールの反対側はプールになっている。しかも長さ25mに満たない小規模プールで、歩行用・子供用と別れているところがいかにも製図試験のイメージに近い。

さらに同町のおおの温泉では、温泉・プールだけでなく2階にスポーツジムまで併設されているのがやばい。2階には上がらなかったが、ウェブサイトの画像によると卓球台が置いてあるようだ。本格的に卓球を楽しむなら、天井高3mくらいは確保した方がいいのだろうか。

揖斐川町の日帰り温泉は、どちらもたった500円で露天風呂からプールまで楽しめる複合施設。この夏は梁で鮎料理を食べるついでに、岐阜の温泉を巡って既存事例を体験しておきたい。

プール付き健康ランド

プールはおまけで運動するのは卓球程度、むしろ温泉と飲食、仮眠・休憩スペースがメインの娯楽スポーツ施設かもしれない。地域のコミュニティー形成に貢献するなら、むしろバリアフリーで遊べる設備を増やした方が老若男女で楽しめる。屋外広場はゲートボール場だろう。

イメージ的にはがっつり鍛えるスポーツクラブというより、「プール付きの健康ランド」と仮定してみよう。ヒーローショーやビンゴ大会ができるステージ付きの大宴会場、整体・足つぼマッサージにゲームコーナー、カラオケルームと喫煙所も設けた方がよさそうだ。

eスポーツかもしれない

あるいは課題のスポーツ施設とは、時代の最先端を狙った「eスポーツ施設」かもしれない。プールで浮かびながら、VRでオンライン対戦を楽しむというスタイルは斬新だ。

仮にeスポーツの国際大会も誘致できそうな本格施設を考えてみよう。ゲームのプレイ画面を投影できる大型のスクリーンを設置し、吹き抜けで観客席も設ける。インフラ面としては、大容量の電力を供給する高圧受電型のキュービクルと非常用電源、サーバールームを水冷式で効率よく冷やすため、屋上に冷却塔も設置したい。

eスポーツについて日本は後進国といわれる状況、IOCが本気でオリンピック種目に加える検討をしているとは、にわかに信じがたい。自分もかつては名作Battlefieldを数百時間プレイしたヘビーユーザー。援護兵でLMGのPKPペチェネグを持たせれば、並ぶ者がいないといわれた伝説の老兵だ。

最近の競技タイトルにBFシリーズが入っていないのは残念だが、eスポーツなら今から特訓して日本代表を目指せそうな気がする。

eスポーツでオリンピック日本代表

平成30年の製図課題は「eスポーツ施設」と山をかけて、お盆休みにゲームで遊んでみるのも一興だ。FPSの古典ならDoomやQuakeだが、欧米向けの世界観がグロすぎるので初心者には推奨できない。むしろ、歴史の勉強になるコール オブ デューティの大戦ものあたりがおすすめだ。古いタイトルなら最近のオンボードGPUでも動くだろう。

ここ数年忙しくてDOOM2016の購入は見送ってきたが、製図試験に受かったら正月休みにでも遊びまくりたい。しかし、歴史は長いといえ残酷表現がきわどすぎて年齢制限のあるDoomが、オリンピック種目に選ばれる可能性は限りなく低い。臓物や脳味噌が炸裂するド派手なグラフィックを、お茶の間のテレビに実況中継できるわけがない。

eスポーツオリンピック日本代表を目指すなら、さわやか系のウイニングイレブンでも練習した方が早いだろう。スーファミ版のスーパーフォーメーションサッカーは、当時の弱小クロアチアでも優勝できるくらいやり込んだ覚えがある。

MOTHER2や悪魔城ドラキュラを差し置いて、ニンテンドークラシックミニに採用された名作スーパーフォーメーションサッカー。もし懐かしの90年代レトロゲームで戦うシニア部門が設置されたら、ぜひともエントリーしてみたい。

ストIIやマリオカートは競争率が高そうだが、魂斗羅スピリッツならハードモードでもクリアできる。どうやって対戦するのかわからないが、メトロイドも得意だ。昨年同様コンセプト系の課題が出たら、ぜひeスポーツを語れるように記述の練習をしておこう。

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